第二十四話
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る。それが俗に言う覇気である。
今視線の先にいる男から向けられる神威は相当なものだ。正直、ちょっとでも気を抜けば膝を折りかねないくらい強烈なだ。私のレベルが低いのもあるが、この尋常でない神威はLv.5以上はないと無理だ。これ下手するとアイズと同じLv.6か、それ以上もありえるね……。
ひっそりと冷や汗を流す私に対し、一声投げかけたまま憮然と立つ男。その背後には異様な光景が見られた。
片手にその男の身長に迫るほどの大剣を握り締めた、全身を真っ赤に染め上げた牛鬼。
ミノタウロス。モンスターの代名詞のひとつに数えられる真性の怪物。真っ向から殴り合えばLv,3の冒険者にすら届くほどの力と耐久を備えた悪夢。
その猛獣は手に持つ大剣をその男に振り下ろすことはなく、むしろ従順するように控えさせ、引き締まりスリムな印象さえ与えてくる筋肉質な体を男に向けて屈していた。
完全に調教されていた。その男によって。それも怪物祭のような曲芸じみたようなものではなく、従僕の殺戮マシーンに仕立て上げてある。どす黒い威圧がミノタウロスからも向けられる。その双眸は間違いなく殺意に満ち満ちていた。
なぜ、という考えは浮かばなかった。いきなり訪れた展開に対して私はむしろ非常に冷静だった。
だから、私の第一声は彼の虚を付いたのかもしれない。
「君の所属するファミリアを教えて欲しい」
錆色の瞳は僅かに潜められたが、やはり依然としてその男は私の行く道を阻みながら答える。
「答える義理は無い」
「いいや、あるね。私の正体を知っていて、そして私を消したいと考えているなら声を掛けず不意打ちで殺せば良かった。でも君はしなかった。ならば君は私に何か対話を求めていたはずだ。ならばまず名乗ることで場を整えるのが礼儀じゃないのかい?」
この手の人格には覚えがある。というか、親友に似すぎててビックリするくらいだ。人情に厚く義理堅く、己の信じる道を貫き対等を望む。口でなんと言おうが根底にその思考がある限り、ほぼ確実に対等な対話に臨んでくる。
その経験談は正しかった。
「……フレイヤ・ファミリア所属、オッタル」
あぁ、やっぱりね。今の時代で私を疎く思ってる神物なんてフレイヤ様くらいしかいないし、私の正体を理屈抜きで看破できるのもフレイヤ様くらいしかいない。前々からすっごい露骨に視線を送りつけてきたけど、ついに実行に移ったのか。何でという質問に対してきっとフレイヤ様は目障りだからの一言で済ませてくるに違いない。理不尽ここに極まれり。
ただ邪魔だから。鬱陶しいから。そんな児童の癇癪みたいな理由で動いてしまうのが神様で、それを可能とする力を持つのが現代のフレ
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