第二十四話
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ステイタスを取り戻すのに専念するか、迷いを振り切ってセレーネ様を探しにオラリオを飛び出すか。
どちらにせよ根拠が全く無いから余計に困る。何かしら手がかりを得られればいいんだけど、世界の中心たるオラリオほど情報収集に適した場所は無いし、ここで情報を得るためにはある程度の地位を築かなくてはならない。やっぱり原点に還ってきちゃうんだよなぁ。
ひとまずこの一年はオラリオに滞在することにした。そんな簡単にレベルアップとか出来るとは思ってないけど、保険の意味もかけて十四年の間本当にセレーネ様から連絡を取れなかったのかを確かめる。その間にステイタスアップしつつ情報収集をしていく。今はこれくらいしか出来ない。変な行動を取ってセレーネ様と行き違えるのはまずい。ナチュルに助言したそばからこれなんだから、よっぽど私の言葉は信用ならなそうなんだけどなぁ。
そんな悩みを片隅で審議しつつ、さすがにもう慣れた格上モンスターとの戦闘をちゃっちゃと片付けながら道を進む。
今日は思い切って街で一泊して更に深い深層まで足を伸ばしてみるかと適当な計画を練っていた、その時だ。
「止まれ」
魔灯石によって仄かに照らされている通路を抜け、いくつかの広間を通過した。
七階層。上層と呼ばれる下位冒険者たちの登竜門、逆に返せば上級ならば気に留めることも無く進むような階層。
そこに一声が投じられた。
なんてことはない、そのただの一言に、歩みを続けていた私の足が言われたとおりに止まっていた。
広大な長方形の空間。そこに一匹のモンスターと一人は立っていた。防具を装着する巌のような巨躯。二Mを超える身の丈。鋼鉄と見まがう筋肉で編まれた強靭な四肢。錆色の短髪から生える獣の耳は、獣人随一獰猛と知られる猪人の証であった。髪と同じ錆色の双眼が振り向いた私の顔を真っ直ぐ見据えていた。
その佇まいを一瞥した瞬間、私は悟った。
この男、かなりレベルが高いな、と。
よくレベルの高い冒険者から言い様の無い覇気を感じると言われる。事実その通りで、その覇気の正体は神様たちが発する神威である。神様たちがそれを行使すれば下界の者全て、問答無用で平伏させることが出来る神様の威厳。しかし、その神様たちの恩恵を受けた人たちにもほんの僅かながらその性質が受け継がれているのだ。レベルが高くなればなるほど恩恵は強くなり、その分希釈されていた神の力が濃くなる。比例して個人が秘める神威も強力になる。
ただレベルが高い冒険者たちは己の力を無意識で制御できるため、なんの意識もなくその神威も収めることも出来、逆に言えば威圧しようと思ったときにその神威を発することが出来
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