第十八話:紅薔薇の剣姫
[7/9]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
当然、その人外の【A.G.N】であるロザリンドは、言わずもがな。
「は、遅い……遅すぎるよ」
わざわざ気障に髪をかきあげながら、【漆黒爆弾】をヒラリかわしてみせた。
一々苛立つ。
かわされた【漆黒爆弾】は、どうやら追尾性が無ければ操作も出来ないのか、そのまま直進し―――清々しいまでに派手な爆音を上げて “車” に命中。
威力Maxなのかコレがデフォルトか、いっそ気持ち良いぐらいにバラバラになって、映画の演出もかくやに爆発炎上した。
「ああっ! ランボルギーニ・ディアブロ『225万円』が鉄クズに!」
「……何故そんな高級車がこんな田舎に駐車してやがる……?」
とは言え見ず知らずの他人の車。どこでどう乗り回し、同止めていようが勝手なのは自明の理。
原因は俺達なので、大なり小なり心が痛む。
そして、何故楓子がそんなに高級車に詳しいか疑問に思う。
……だがどうせ主人公がどうのこうのの戯言が精々なので、聞かない方がよかろう。
「……まだまだ」
早速出た莫大な金銭的被害に構わず、マリスは両手を構えて幾つも【漆黒爆弾】を具現。
ジャグラーの如く円を描いて、投げては受け取りを繰り返し……断続的に、不規則的に、マシンガンの如く次から次へと射出し続ける。
「ははは、無駄だよ無駄! 無駄な攻撃だと学び、即刻やめたまえ」
されど射出速度は兎も角、本体の速さはマシンガンに劣る。
だからヒョイヒョイ避けられ、余計に相手を増長させる。
ついでにムカつき度も上昇……負の連鎖が止まらねえ。
破壊力だけなら確かに良いかもしれないが、飛行速度の遅いこと遅いこと。
それなりの速度で飛来しているのは理解出来ても場の状況が、この【漆黒爆弾】を役立たずな攻撃だとしか思わせてくれない。
「……使えないな」
「何言ってるの、そんなこと無いよ! 【漆黒爆弾】は普通に飛ばして爆破させるほか、遠隔操作でタイミングを指定して爆破したり、威力を考えて接近戦で使ったり! 色々応用のきく玄人好みの技なんだから!」
「今この場で一番欲しいのは、必ず当たってさっさと倒せる技だ」
「そんなの美しくない! 私の美意識に反するよ!」
お前の美意識なぞ―――出前寿司に付いてくる、小さくて仕切にもなって無いバラン以上に如何でもいいわ。
「……もう一回……!」
そんなクソどうでもいい事でいがみ合ってる間にも、マリスの爆破攻撃は止む事無く、ロザリンドの回避も続けられ―――
「……いけ」
「甘いね!」
爆発。
「ああ!? ジャグァーXK『1650万円』が!」
「……ふぅっ」
「遅いよ!」
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ