第十八話:紅薔薇の剣姫
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ちえない。
こんな決闘もどきでは、正直分が悪いとしか言いようがねえ。
されど抗わねば、ここで全てが終わってしまう。
「マリス、鎌以外の最強技で一気に決めろ!」
「ほむぐぐぐぐぐ……!? むぐぐぐぐぐぐ!!」
馬鹿な事を言わせないため、右手を楓子の体に左手を口に固定した状態で、徐々に徐々に移動して運ぶ。
大方―――美学に反するとかいきなり最強とは考えられないとか、《漫画だからこそ》盛り上がるだけで、今此処では絶対に必要なないであろう戯言を漏らすからだ。
現に大声でもがいている。
分かりやすい奴だ。
明らかな格上相手に、出し惜しみなどしてはいけないだろうに。
対して……ロザリンドは面白い! と言わんばかりの顔で待ち構えている。
これは僥倖な展開だ。
「……【滅殺無間地獄】でいい……?」
「技の内容は?」
「……半径一qを灰燼に帰す」
「俺等も死ぬだろうが! ……次は」
「……【黒死天使】。半径一q―――」
「却下だ」
「……まだ言い切っていない」
「半径一qの時点で議論する余地はない!」
何が言い切ってないだ―――肝心の俺達どころか、よく知らん人等まで巻き込まれるだろうが!
即時却下推奨対象、決定に待った無しだ。
「そもそも何故そこまで無駄に範囲が広い……?」
「……だって、これはノートに書いてある設定」
「デコ助、今すぐ此処で砕け散れ!」
「ひどっ!?」
声を抑える事無く思い切り怒鳴って避難、プラスで罵倒も付け加えてやる。
ぶん殴らんだけ有り難いと思え。
…………って、今はこんなばかばかしいコントを繰り広げている場合じゃあねぇ……!
ロザリンドは!?
「ふーむ……」
……オイ、まだ待ってんのかよお前。
有りがたいは有りがたいが、律儀なのか阿呆なのかどっちだ。
「マリス、攻撃範囲の狭い技は」
「……下から二番目に弱い【漆黒爆弾】なら……」
よりにも寄って二番目に “弱い” かよ……ホントきっつい状態に追い込まれてるな、俺ら。
だが贅沢は言ってられないか。
「それでいい……やってやれ!」
「……了解」
言いながらも上に向けられたマリスの掌に、光を呑み込まんばかりに黒い球体が姿を現す。
「ふっ」
そっと息を吹きかければ、【漆黒爆弾】は一種の生き物か何かにも似た動きで、空を宛ら滑るよう飛んでいく―――のだが、遅い。
いや、遅いとはいっても銃弾には劣るぐらいであり、人間同士の争いならば実に驚異的ではあるが、人外同士だと今一つ物足りない。
中途半端な速度だ。
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