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少女の黒歴史を乱すは人外(ブルーチェ)
第十八話:紅薔薇の剣姫
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 だが、同時に建物への被害が避けられない事となってしまった。

 ……『あっちを立てればこっちが立たず』が、こんな所で出てくるなってぇの……。


「……殺す」


 先に仕掛けたのはマリス。
 【鋼糸(スティール)鏖陣】(ゴルゴン)を発動させた髪の毛を鞭の如く操り、二股に分けてロザリンドの上下を時間差で狙う。


「ふっ、僕も舐められたものだ」


 言いながら、蜘蛛の巣でも払うような気軽さで剣が振られ、上段は弾かれ下段は跳ばれて回避される。


「はあぁぁぁぁっ!!」


 着地から間髪置かず前方へ飛びだし、肩口から両断せんと袈裟がけの一刀。
 マリスは慌てる事もなく……いや表情が変わらないので本心は分からないが、後退と【鋼糸鏖陣】による横腹打ちで、見事にいなしてやり過ごした。

 ……待てよ?
 そう言えば何故【鋼糸鏖陣】なんだ……?


「おいマリス、鎌は使わないのか」
「……あれを振うのは、世界を駆り取る時」
「OK分かった絶対に使うな」


 念を押しつつ、俺は右拳を振り上げる。


「ふぎゃん!?」


 そして妹を殴り飛ばす。

 また面倒くさい設定を書き綴り、マリスを不利に追い込んでいる罰だ。
 攻め手として鎌が使えれば、あともう少し善戦出来そうなのだが……。

 そんな事を考えている間にも焔の如き髪色を映した、ロザリンドによる攻めに攻めを重ねた激しい剣撃はやまない。
 乾竹割から回転しての二段横薙ぎ、そこから一瞬止めての切り返し。
 重槍にも匹敵しそうな腰の入った突きを見舞えば、一部だけ増加させた【天使の羽衣】で【鋼糸鏖陣】の不意打ちをしのぐ。


「……しゅっ!」
「無駄だ!」


 【鋼糸鏖陣】で作った刃の網を三方から叩きつけるも、漁獲網の中に風車でもぶち込んだように、回転する大剣で断ち払われる。

 其処から始まる、豪速の乱れ切り。
 上段かと思えば下段。
 横薙ぎかと思えばそれは残像、本命は切り上げ。
 突きがぶれて“二つの剣”が迫るような一撃。
 ……銀色に塗装したエアーソフト素材の剣でも振っているのか、と見紛う程の連続攻撃。


「はぁあああっ!!」
「くぅ……!」


 スペックの優劣の “優” の位置居るロザリンドは、攻めて、攻めて、また攻める。
 如何しても総合力で劣るマリスは、【鋼糸鏖陣】に体術を絡めての防戦一方だ。

 ロザリンドは愚昧(あほう)の書いたシナリオの中では、事実上のラスボス設定。
 おまけに一対一では無類の強さを誇りやがる。

 マリスは……もう何度もしつこい様だが、そして俺も嫌になるが最初に倒される事実上もクソもない『最弱』で、殲滅使用の能力しか持
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