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少女の黒歴史を乱すは人外(ブルーチェ)
第十八話:紅薔薇の剣姫
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「理由になってねぇ」
「しかも私でも自分でも無いんだよ! ボクっ子なんだよ!?」
「日本語を喋りやがれ」
「あたしはそんな設定作って無いのに、作品が作者の予想の上を行って後頭部にダゲキィィィッ!!!」


 取りあえずこれ以上相互理解も出来ない会話など不要なので、打ち下ろす形の頭突きをして黙らせる。
 毎度毎度思うが、今回は特に思い知らされたな……脳みそのつくりが常人とは根本的に違うんだろうってのが。
 もうホントに。

 楓子が一端黙ったとはいえ、何も解決しておらず普通に謎は残る。


「ロザリンド、楓子に一体何の用だ? メープルの奴もコイツを狙っていたが、何か拘る理由でもあるのか?」


 幽霊時代の恨みから【A.N.G】の一角であろうと人間ではなく死神である、マリスを打ち取っておきたいと言うならまだ分かる。
 だが、この愚妹に用事があるなど理由にトンと見当がつかない。


「君に用は無いと言っただろう?」


 飽くまで俺を相手にする気はないと、言葉を受け取りもせずに撃ち落とすロザリンド。
 ……個人的な事だが、少し苛つきが増しやがった。
 決闘の件と言い……コイツもコイツで馬鹿なのだろうか?
 何もかもが暗闇に包まれている以上、おいそれと連れて行かせる気はないのが当たり前だろうが。


「兄ちゃん前提からして間違ってるよ? 愛には拳があぁぁっ!?」


 もう一度、今度は拳骨で黙らせる。
 口を開かせても碌な言葉が出ない事は承知の上。
 そしてこんなファンタジックな場では、何時も異常に碌でもない事を口走るのも重々承知している。

 何よりこれ以上話をややこしくさせてたまるか。


「……楓子は渡さない。此処で貴女を成仏させる」


 マリスの周りに……アレだ、【天使の(エンジェリック)羽衣(オーラ)】であろう黒い光がまとわりつき始めた。
 同時に背には鎌が現れ、頭上で軽く三度まわして構える。


「ふ、そうこなくては! 君は彷徨える魂を狩る事を信条とし、ボクは己の誇りをかけて……互いに譲れぬ物の為、決闘としゃれこもうじゃあないか!」


 ロザリンドもまた赤い【天使の羽衣】を身にまとい、片手に下げていた大剣を両手で正眼に構えた。
 踏み出すのではなく鼓舞する為か、お互いがコンクリートに罅を入れるほどの力を込め、後ろ足で踏みしめた。


「!? きゃ、きゃあああぁぁっ!?」
「ひひひ………ひ、人殺しだああああっ!?」
「逃げろおおおおっ!!」


 漏れ出した殺気と迫力のおかげか……その様相はまるで蜘蛛の子を散らすように、間抜けに傍観する事無く野次馬どもは逃げていく。
 これでまず懸念していた、人間への被害は最小限に抑えられるだろう
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