第十八話:紅薔薇の剣姫
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を受けた際に考えた『死神であるマリスを倒しに来た』事か、それとも『俺の想定外の理由が絡んだその他』か。
前者は前者で不味いが目的がハッキリしている分、事前に打てる策を用意できる利点がある。
対して後者は何も予測できていない以上、思わぬ被害を受ける可能性を否定出来ない。
どちらにせよ、俺の頭の中だけでこねくり回していても仕方なさそうだ。
「紅薔薇の剣姫とか言ったよな。お前は何の用でここに来た?」
「君には用は無い」
……まあ……何の用でここに来たのかと聞いているのだから、それの返しで『俺に用は無い』と言ったのかも、しれないな。
……そう考えないと神経がすり減っている分、すぐ血が上りそうで仕方ねえが……。
だが、そんな俺の頭の血をいくらか下げる出来事が、この後すぐ目の前に現れる。
「ふっ」
ロザリンドは息を吐いて、溜めも入れずに腰の鞘から剣を抜きはらった。
「……! 何……!?」
するとどうだろう―――精々サーベル程度が収まっている様にしか見えなかった、細身の鞘からは考えられない刃渡りと幅の大剣が姿を現した。
柄有りの全長で言ってしまえばロザリンド自身の身の丈を超え、重量など本人が鎧を着けている事を入れても確実に上。
オマケにそれを片手で振り回す……常識の埒外にも程がある光景だ。
そしてその大剣が突きつけられた先は―――殺戮の天使・マリシエルだった。
つまり、こいつの目的はマリスか……!
「目に映りしものを葬りゆく、殺戮の天使よ! 僕をつけ狙う君に決闘を申し込む!!」
俺は内心で舌打ちする。
予想通りとはいえ、これで『弱い奴から戦おう』と言う計画が、一日と立たず早くも台無しになってしまった。
理由を聞き、その理由の欠点を指摘して追い返せれば良かったかもしれないが、
「ボクはまどろっこしい事が嫌いでね……だからこそ此処で即時決着をつけ、後顧の憂いを立たせてもらおう!」
聞く前に対話の否定を意味する言葉が返ってきた。
しかも理由がくだらない。
“まどろっこしい”……そんな理由で人の行きかうこんな場所だろうと、構わず決闘を仕掛けてきたのか。
例えロザリンド自身や、他の客二に迷惑が掛らなかろうと、俺やこの施設には思いっきり負担がのしかかってくる。
……楓子は論外だ。こんな状況で嬌声を上げる奴が、このあとの状況を想像して思慮出来るとも思えねぇ。
何より歓喜して暴れまわるだけだろうしな。
だが俺や野次馬、このムトゥーヨガー堂は違う。
下手しなくても損壊や負傷は免れないし、顔がテレビなどに取られれば体一条関係者だと疑われる。
そうすると―――説明しようにもできないジレ
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