第3章 リーザス陥落
第68話 ジオの町の異変
[7/13]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
世界のバグはどんなものなのか……、少なからず興味がわいたユーリだった。
〜ハイパービル前〜
イシス、シーザー達のおかげでサテラはどうにか脱出する事が出来ていた。だが、どうしても不快感は拭えない。自分よりも遥かに弱い人間達にここまで追い詰められたのだから。
「ぐぅ……!!」
「サテラサマ ダイジョウブデスカ?」
「だ、大丈夫だっ! こ、このサテラが……、人間なんかにぃ……」
ぎりぎりと、拳を握り締めるが、どうしても力が入らない。魔封印結界は、サテラの力を限界ギリギリまで奪っていた様だ。
「ヒトマズ、キョテンヘモドリマショウ」
「………」
シーザーが、サテラを抱き抱え、そして イシスが周囲を確認、護衛に回る。
転移の魔法だが、そう何度も使えないのだろうか? 或いはサテラの力が必要なのだろうか? それは判らないが、3人は徒歩で帰っていく様だ。徒歩〜とは言っても人とは比べ物にならない程の速さ。
「……ぅぅ」
サテラは、どこか悲しそうな表情でハイパービルの方を見ていた。
もう、一体いつ頃だったか判らない。
――本当は、女の子らしく、振舞って……、そして恋したかった。
そう想い馳せていたのは一体いつ頃だったのだろうか。
だけど、サテラは魔人であり、誰も男の子など近寄りもしなかった。……魔人なりたての頃は、本当に寂しかったし、辛かったサテラ。幼馴染役、遊び相手としてホーネットと一緒に育ってきたから、本当の意味で孤独だった訳ではない。だけど、女の子としては、どうしても……。それはどこかの忍者の彼女がすごく共感出来る境遇なのだった。
「……そんな時に、ユーリに出会ったのに」
そう、あれ程までに強い人間は見た事がない。……あの妙な力は別モノだとしても、ユーリ自身の強さは人間の限界を超えているとさえ思えるのだ。
魔人である自分に、そこまで近づける男の子に出会えた事が……本当に幸運だったのに。
「サテラサマ。ドウシマシタ? ダイジョウブデスカ??」
サテラの独り言が耳に入った様で、シーザーがサテラの顔を見ながらそう聞くが。
「っっ!! な、何でもないぞ!」
シーザーと目? が合ったサテラは、ぱっ!と手を上げながら慌ててそう返した。
そして、思う。
「(……まだ、まだ終わった訳じゃない。終わったわけじゃないんだっ!)」
そう心の中で呟くと(口に出すと、シーザーに気づかれる)。
「次こそはだっ!! 待ってろよーーーっっ!!」
ハイパービルに向かって乙女の雄叫びを上げるのだった。その単語からは、色んな意味として取れる。だから、シーザーは。
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]
しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ