第3章 リーザス陥落
第67話 魔人の涙
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〜ハイパービル201F???〜
――……ついに、ついにこの時が来た。
その場所にいるのは3名。
1人は縛られ、宙に吊るされている。1人は、それをじっと見ている。
そして、最後の1人は……。
『来たぞ、サテラ。……さぁ シィルちゃんを離せ』
部屋の入口で立っていた。この部屋の扉を開き、そしてとうとう、現れた男。
『……待っていたぞ。 ユーリ』
じっと、吊るされていた少女、シィルを見ていた者、魔人サテラはゆっくりとユーリの方へと振り返った。腕を組み、視線を細くさせていた。
『……何が目的だ』
『くくく……』
サテラは不敵に笑う。その笑みを見たユーリは警戒を強めた様で身構えていた。その姿を見たサテラは、ゆっくりとユーリの元へと進む。
『我が物となれ。……ユーリ』
『なに……?』
『さすれば、この娘は無条件で返そう。我が使徒となり、その聖武具を纏いて、我とそして我が主に仕えよ』
サテラは、手を伸ばした。
丁度、ユーリに『この手を掴め』と言わんばかりに。
その手を見たユーリは、視線を更に険しくする。そして、決して手を取る事なく。サテラを睨みつけた。
『……オレが頷くとでも思っているのか?』
ただ、真っ直ぐに、そのままサテラを睨みるける。決して逸らさないその眼に、サテラは喜々と反応した。
『くっくっく……、そう、その眼だ。我が惹かれたのは』
舌なめずりをしながら、ユーリを見た。ユーリの眼を。
『初戦を考えておるのなら、止めておけ。……もう、我に油断は、いや 過信等はない。お前の事は認めているんだ。人間の中でも、お前は別格。……魔の驚異に成りうるただ1人、唯一無二の存在だから、な。だからこそ、私も全力で、全身全霊を賭けて、お前の相手をしよう。我はお前には勝てないかもしれない。……が、お前は無事なれど、お前の仲間達はどうかな?』
サテラはそう言うと、自身の持つムチを軽く振るった。
その一撃は、このハイパービルの堅牢な床に亀裂を生んだ。まるで、床面の模様をなぞる様に、亀裂が進んでゆき、床が崩落する。
――……一撃の破壊力、キレが明らかに、あの時よりも数段増しているのが判る。
自分自身であれば、或いは防げるかもしれない。それにあの力を 開放すれば、問題ないだろう。だけど、その縦横無尽に動くムチの軌道が僅かにでも、縛られていて、無防備な状態のシィルに当たれば? もしも ここに仲間達が駆け付けてきてくれて、その仲間達に当たれば?
『う、ぐっ……』
ユーリは、苦虫を噛み砕いた様な表情をしていた。
何故なら、ユーリは自分が傷つく事は厭わない。が、仲間達が傷つく
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