暁 〜小説投稿サイト〜
ランス 〜another story〜
第3章 リーザス陥落
第67話 魔人の涙
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 サテラは、自身の中で制作した台本を必死に読む。……かなり頑張って読もうとするが、どうしても 噛んでしまうのはご愛嬌だ。

「……よくぞ、も何も、門番が入れてくれたんだ。オレだけが条件だったが。入る事自体、苦労は何も無かったぞ」

 清々しいまでの指摘と言う名のカウンターがサテラに直撃。
 だが、それも仕方がない。魔人とその従者、使徒が相手であれば、如何に人間界屈指の実力者を揃えた所で小人数では心許ない。……が、その魔人達との戦闘は一切なく、このハイパービル内に生息しているモンスター達のみの戦闘だけだ。8人も居ればまるで問題ないし、魔人達との戦闘を考えて、それなりにアイテムも常備しているのだから、体力面でも全く問題ない。……ヒーラーが増えた事で更に攻略しやすくもなっているのだ。

「へ、へぅ、い、いや! そ、そのっ」
「……何を慌ててるんだって。それで、オレには一体何の用だ? ……凡その検討はついているが」
「っっ!!(ゆ、ユーリが、ユーリが、検討ついているっ!? ひょ、ひょっとして、サテラの事、わかってっ……??)」

 ぼひゅんっ! と真っ赤に染まるサテラ。
 でもでも、此処で威厳を損なってしまっては、ダメだ。魔人としてのプライドだって、サテラにはあるのだから。

 サテラは、2度、3度と深呼吸をする。

 そして、力一杯空気を吸い込み、一気に吐き出した!





「サテラは、ゆゆ、ユーリが、ユーリが欲しいんだーーっ!!」
“欲しいんだーーっ……しいんだーーっ………んだーーっ……”





 広大なこのハイパービル内にサテラの大声が木霊していった。木霊、と言うよりは反響音。反射に反射を重ねて何処まで伝わっていったのか判らない。201と言う巨大な建造物だと言うのに。

「……は? 欲しい??」

 ユーリは思わずスットンキョーな声を上げてしまった。
 
 だけど、サテラの狙いは、あの時圧倒した力の事だと想像していた。 サテラが魔人の中で何れ程の力を持つ魔人かは知らないが、それでも、魔人を圧倒する人間がいたとなれば、それは十分に驚異に映るだろう。24人しかいない魔人の数を考えても。

 だから、力について聴き出したり、危険分子として処分したり、とは考えていた。だが、まさか欲しいと言われるとは……。

「(いや、ホーネット派のことを考えたら……、判らなくもない、か。相手側の方が ある程度上な筈。……その上 劣勢に立たされたのだとしたら、戦力は大いに越したことはない。……それに今回の件、ホーネットの為に、カオスを狙った。……一応、筋は通る。サテラは、だが)」

 勿論ユーリは、そう解釈した。
 アイゼルの事、そしてまだ見ぬ魔人もいるだろう。……全員の真意が判らないから、
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