暁 〜小説投稿サイト〜
ランス 〜another story〜
第3章 リーザス陥落
第67話 魔人の涙
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隙あらばシィルを助ける』 それを狙っていた筈だけど、思わずトリップをしてしまい、順応出来ず 動けなかったのだ。明らかに 今 隙だらけなのに。

「ふ、ふふふふ。よし、イメージ出来たぞ! こ、これで行こう! 大丈夫だ。さぁ、いつでも来るがいいさ! ユーリっ!!」

 今度は 妄想世界から帰ってきたのだろうか、何やらガッツポーズを決めつつ、そう宣言するサテラ。……今まさに 目の前にいるのだが? と一瞬思ったユーリ。それに、これは話さない方がいいかも、地雷かも、とも思ったユーリだが、そう言う訳にはいかない。

「もう、来てるんだが」
「………へ?」

 この時、漸くサテラは、焦点を合わせる事が出来た。
 さっきまではただの通路だったハズ、誰もいなかったハズ。でもでも、目の前に確かに誰かが立っている。

「………だ、ダレ?」
「いやだから、オレだ。ユーリ」
「……え、え? グ、 グール?」
「なんで 動く死体(グール)なんだよ! それに、それ、字数しか合ってないだろ」
「………」

 ユーリの冷静なツッコミを訊き、サテラに、冷や汗がばんばん流れ出ているのが判る。目は見開いて、更には震えている様だ。


――……なんで サテラが震えてるんだ?


 と更に思ってしまうユーリ。これも仕方がないのである。彼、どこまで言っても超鈍感だから。


 サテラは ユーリの顔をじぃぃ、っと見て、間違いなく目の前、部屋の中に来ている男が 間違いなく(ユーリ)だと言う事を認識した。

「なな、ななななっっ!!!」

 口をあんぐりと開け、顔を自分の髪の色のよーに赤くさせた。

「約束通り来たぞ。……さぁ、何やってたのか知らんが、シィルちゃんを還してもらおうか」

 ユーリは、残り2つの聖武具を前に出すとそう言う。正直、状況を掴むのが難しかったが……、まずは目的を果たすのが先決だ。

「ゆゆ、ユーリさんっ……!」

 シィルも勿論ユーリが入ってきた事に、助けに来てくれた事に気づいた。
 でも、今の今までサテラの様に妄想ワールドに入っていたから、どうしても恥ずかしさだけが残る。そんな無防備な姿を見られてしまったのだから仕方がない。……日頃、ランスに色々とヤられて辱めはそれなりに受け尽くして、耐性ができて〜とも考えられなくもないが、流石にランス以外に見られる耐性は出来てない様子。

「ああ、大丈夫だったか? シィルちゃん。……ランスが来てなくて悪いとは思うが」

 ユーリはそう言うと、軽くウィンクをした。その真意は直ぐに伝わる。……ランスも直傍にまで来ている、と言う事に。シィルは、それが伝わって、頬を赤くさせた。

「ゆ、ゆーりっ! よよよ、よくぞここまで来たなっ! ほ、ほ、褒めてやろう!!」

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