第3章 リーザス陥落
第67話 魔人の涙
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っと疑いたくなる様な表情をシィルはしていた。縛られている、と言う状態だけが、彼女の現在の状況を現していた。
そして、そんな時だった。
「……で、これは一体どう言う状況なんだ?」
いつの間にか、このフロアに誰かが来ていたのだ。
その男は当初こそ、険しい表情を隠せられなかったが、しばらく見ていると、何だか和やかさな雰囲気さえ出ている事に勿論気づいた。
……そして、ここに来るまでに一悶着あったのに。それらの苦労と覚悟を返せと正直言いたい思いでいっぱいだった。
〜数分前〜
それは、ハイパービルのエレベーターの前。
2つの影が見えた。ただの影じゃない。……見覚えのある巨大な影、覚えのある異形なるものの存在感。……人あらざる者達だった。
『ユーリ、カ』
2つの巨大な影の内の1つが。……1人が口を開いた。
『おいコラ! ユーリだけじゃあないのだぞ! このランス様を忘れるとは何事だ、 木偶のぼうが』
自分よりも先にユーリの名前を言ったことが大分ご立腹の様子のランス。……先にランスの名前を言ったら言ったで、色々と文句を言いそうな気がするが、それは置いておこう。
『話が長くなる。……今度は このガーディアンと2人っきり、いや 2体いるから、3人きりで合わせてやるからちょっと待っててくれ』
『馬鹿言え! 何が悲しくて、こんなデカブツ木偶のぼうと会わにゃならん!』
ユーリの苦言にランスの応対は、これまたいつも通りだ。何よりも、それが迅速な対応になるのだ。
『ったく、ちょっとは緊張感もちなさいよ』
志津香も思わずそう言ってしまう。……ここもいつも通り、とはいかない。
女性陣達は特に集中している。目の前に人外が現れたのだ。……当然だろう。比較的、いつも通りに徹する事ができているのは、リック、清十郎、そしてランスとユーリの4人だ。
『……コイツらが』
『び、ビリビリと来るですかね……。圧迫感が、これまでの敵とは比べ物にならない、ですかね……』
かなみとトマトは、生唾を飲み込んだ。
強くなったからこそ、相手の強さもある程度読める様になる。自分程度の実力でも、見たら判る。まだまだ到底及ばない領域にいる相手だと言う事が。
『……あぁ、神よ』
セルも、ぎゅっと両の手を合わせて握り、祈る。……身体の芯が震えても、人あらざる者に神の裁きを、と。
シスターとして、教会で祈りを捧げてきた彼女。だが、今回の様な悪魔の巣窟とも呼べる場所に向かった事は初めてであり、真の悪に対面したのも初めてだ。(……ロゼの悪魔はとりあえず省いたとしても) その悪意ある威圧に身震いをし
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