戦火の足音
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界には二柱の神が居た。その名前は創世神ステイシアに暗黒神ベクタ。それぞれが担当する世界に住まう生物を作った。ステイシアは慈愛をもって争いのない肥沃な世界を作ったのに対し、ベクタは寛厳をもって争いの蔓延る痩せた世界になったという。
さらにステイシアは自身の作った世界とベクタの作った世界を隔てる壁を作り隔絶されたものとした。
やがて二柱の神はこの世界を去る。最後に暗黒神ベスタは言った。長い時はかかるが壁の一部は崩壊するよう細工した、と。
「こんな感じだけど……」
計画通り。成る程。こちらの世界の人間であるあの竜騎士が俺のような白っぽい人間を狙ったのは、肥沃な土地で住んでいるという嫉妬と神の違いによる確執か。正直なところお門違いではあるが、あちらからすればどちらも一緒なのだろう。
「壁があるということは俺達は戻れなくないか?」
「白イウムなリンとユウキは大丈夫だと思う。私は……崩壊したら合流しようかな?」
のほほんと暢気そうな顔でとんでもないことを言い始めるレア。自分の言ったことの重大さに気づいていないらしい。
「何故崩壊がもうすぐあると予測できる?」
「そこら辺にある石を使えばわかるけど?ほら、これ」
レアは砂の中に半ば埋没していた握りこぶしよりも小さな石を拾ってきて渡してきた。俺はその石を受け取ると手の中で転がしながら様子を見る。……が俺からは何の変哲もない石に見えた。
「これがどうかしたのか?」
「その壁と同調してるみたいでね。少し調べればわかるよ?」
その少し、の方法が知りたいのだが……。
「……それがどうしたの?」
少し考えこんでいたからなのか、レアが心配そうに話しかけてくる。
「レア、その壁の崩壊によってなにが起こると思う?」
「えっ?えっと、こっちの世界とあっちの世界の交流じゃないの?ほら、こっちの世界はちょっと大変だし、それで少しはよくなるといいね」
そんな世界でこんな性格、思考をできる方がレアなんだが……。その考え方をしている、脳内お花畑な連中はこちらの世界にも棲息している。
だが、そんな幻想はこの世のどこにもあるはしない。
「壁が取り払われることで起こるのは戦争だな。あちらの世界の資源その他を求めて奪い合う、な。しかもこの世界は良くも悪くも隔たれていた。どちらも真の意味で戦いを知らないのならば始まるのは泥沼の争いだ」
生物は痛みから学ぶ生き物だ。戦争の悲惨さ、恐怖。そして戦争後のリスクすら知らないのならば止める理由はない。片方が完全に壊滅するまで続くだろう。
戦争はある意味では商売である。どれだけの被害を使ってどれだけの利益を得るか、できなければ衰退していく。
「せ、戦争!?」
「ああ。暴力が一番わかり
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