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転生とらぶる
Fate/stay night
1129話
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でいく。
 脇腹を貫通……というか、砕かれた状態だったし、回復するまで暫く動く事は出来ないだろう。
 つまり……

「これで、もうお前を助ける奴はいなくなった訳だ」

 笑みを浮かべつつワカメの方へと視線を向けると、一連の事態を見て呆けていたワカメが我に返る。
 そして、自分の現状が正真正銘命の危機……というより、完全に詰んでいるのが分かったんだろう。慌てて周囲を見回す。
 当然そんな真似をしても、ここにワカメを助けるような奴がいる筈もなく。

「まっ、待て! 待ってくれ! 結界を解く! だから……」
「いや。もう遅い。お前はやり過ぎた。ゴミ程度の価値しかない、お前の下らない命で償える筈はないだろうが、それでも0と0.0000000001程度では重さが違う。せめて、その下らない命で償え」
「待て! ぼ、僕がやったんじゃない! これは……そう、あのキャスターに命じられてこういう事をさせられたんだ! だから、僕は悪くない! 僕は被害者なんだ!」
「さっきと言ってる事が随分と違うな?」

 この期に及んでの命乞いに呆れながら、ワカメの方へと向かって1歩を踏み出す。
 じゃりっ、というライダーとの戦闘で破壊された校舎の壁の破片を踏む音が、不思議と教室の中に響く。
 未だに廊下では戦闘が続いており、その戦闘音は聞いて分かる程にこっちに近づいてきているのだが。
 それでも、俺の踏み込む音は間違いなく響き渡った。
 その音を聞いたワカメは、ビクリと身体を震わせる。

「くっ、来るな。来るなよ! 僕は悪くない! 絶対に僕は悪くないんだ! くそっ、何なんだよ! 何だってあんなにライダーが弱いんだよ! 折角僕がマスターになったのに、こんなのってありかよ!」

 好き放題に喚いてはいるが、そんなのは俺には関係ない。
 とにかくこのワカメを生かしておけば、間違いなく面倒臭い出来事になる。
 衛宮の性格を考えれば、このワカメを処分するのには絶対に反対するだろうしな。
 だからこそ……悪いが、衛宮がここにやってくる前に片付けさせて貰う。
 ジャリッ、と。再び1歩を踏み出す音が周囲に響き渡り……

「ひっ、ひいいいいぃぃっ!」

 その瞬間、ワカメの恐怖が限界を超えたのだろう。情けない悲鳴を上げながら、その場で身を翻し、教室の後ろ……先程ライダーが吹き飛ばされた方へと向かって走り出す。
 確かにここが1階である以上、そこから逃げ出すのは可能だろう。
 まさかこの展開を読み切っていた訳ではないだろうが……いや、キャスター辺りの入れ知恵という可能性はあるか。
 ともあれ、この教室から出てしまえば逃げ切れると判断してもおかしくはないし、実際外に出てしまえば、さっき吹き飛ばしたライダーがもう一度姿を現す可能性も否定出来ない。

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