第3章 リーザス陥落
第66話 サテラの思惑
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ラを撃退した事から、あの魔人がユーリを優先しようとしている、と言うユーリの話は納得できる。だけど……、本当にそれだけなのなら、あの表情が説明つかない。あの薄暗いハイパービルの中ですらはっきりと見えた、赤く染まった顔を。
「大丈夫だ。……サテラはオレをご指名の様だが、無茶な真似はしないよ。……残していく様な真似も、な?」
そう言って、志津香の肩に優しく手を置いた。
色々と心配は尽きないけど……今はまだいい、と志津香は思っていた。まだ、ユーリは、向こうに行っていないのだから。志津香は、その手を取って、そして頷く。
「……無茶なんかしたら、私も一緒に突撃するから。……白色破壊光線と一緒に」
「って、おいおい、オレまで吹き飛ばす気か?」
「何言ってんのよ。……ゆぅは、あの時だって大丈夫だって、『自分ごと撃て』っていったじゃない。それに、今更その程度でくたばらないでしょ」
志津香は、そう言って笑った。
本当は、サテラの心の事も心配だったけれど、ユーリがそう想ってくれているのを聞いて、これ以上言えなかった様だ。
「ユーリさん、志津香、行きましょう! 早く、ローラさんの誤解を解かないと」
「……だな」
「うん、判ってる」
2人は、話をしていたから、少し遅れ気味だった。
だから、かなみが呼んだのだ。どうやら、話は聴いていなかった様だから……一歩遅れてしまった事にかなみは気づいていない。……それが、或いは良かったのかもしれないのだった。
〜ラジールの町〜
一行は、ハイパービルを出て、ラジールの町へと向かった。まだ、彼女があの街にいる事を知っている。そう、軍人の報告を受けたからだ。……そろそろ、切羽詰っている、と言う事も。同性であるハウレーンやメナド達は、勿論強硬手段を取る事には反対はしてくれていた。それでも、状況を考えたら、どうしても取らざるを得ない方向へと向かいつつあったのだ。だから、今日が最後だった。
今日の説得が……。
それは、ユーリ達が到着する数分前の事。
〜ラジールの町・酒場〜
ローラは、その日も自棄酒を飲んでいた。
それでも思い起こすのは、彼と、ウーと共に過ごした日々。確かに、洞窟の中で……薄暗く冷たい場所だったけれど、それでも一緒に過ごした日々は暖かった。傍から見たら、異常なのかもしれない。モンスターと共に、愛を誓い、ともに暮らしていたのだから。
――……それでも、良かった。
ローラの怒り方は、子供の様に思える。癇癪を起こしてしまう子供。……だけど、真剣だった。真剣にウーの事を愛していたんだ。
文字通り 命を賭けて。
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