外伝
外伝《絶剣の弟子》C
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ードが飛びかかってくる。退避するのも一手だが、それでは今やってる"修行"にはならない。
自分のような軽装戦士が前衛でターゲットを受け持つ時の立ち回りは大別して2つある。1つは敵の攻撃を回避またはいなし続け味方に隙を突いて貰って反撃する。もう1つは自らブレイクポイントを作り出し、反撃する。言うまでも無いが、前者はパーティープレイで後者はソロプレイで効果を発揮する。今、俺はユウキさんとパーティーを組んでいる訳だが、後方に控えるユウキさんは戦闘が始まっているというのに身構えるどころか剣を抜いてすら無い。勿論、ユウキさんがその気になれば今から抜刀して地面を蹴り、5体のブリザード・フェンリルを蹴散らすまでに10秒とかからないだろう。だが、これは俺が望んだことで必死こいて修行している、さっきの後者側の戦闘方法だ。
「くっ……」
バックラーで受け止めたブリザード・フェンリルを押し返す。続けて来た2体目はバックラーを構えたまま体を下に潜り込ませるようにしゃがんでやり過ごす。そしてそこから手と足の位置を少し変えてソードスキルを発動させる。片手直剣の基本技で、ジャンプからの垂直斬りを行う《バーチカル》。同じ基本技のスラントより応用範囲は狭いが、威力が上で隙もそこまで変わらない。一撃では仕留められなかったものの、即座に横転して距離を取る。赤いダメージエフェクトを溢しながら攻撃を食らったブリザード・フェンリルが唸る。いつの間にか残りの3体も俺の周囲を取り囲み、威嚇するように歯を剥き出しにしていた。
「…………」
少し前の俺ならばこの状況をどうすることも出来なかっただろう。しかし、今は違う。毎日自分が少しずつ強くなっているのを実感出来るようになった。その感覚が正しければ……この程度は何とでも出来る。
「行くぞ……!」
重要なのは周りをよく見て素早い判断を下すこと。無駄な動きを省くこと。本番前の前哨戦にしては少しハードかもしれないが、俺は意識のギアを切り替え集中力を高めて行った。
「はぁ、はぁ……」
「お疲れー。もう結構余裕?」
「……いえ、ちょっと舐めてました」
結果的には勝ったものの、今回のクエスト用に買い込んだアイテムを僅かに使ってしまった。多めに買って来たとは言え、この消費は自分の慢心が生んだものだと心の中で戒める。
「まあ結果オーライじゃないかな。勝ったし、いい経験にもなったでしょ?」
「……そう、ですね」
反省点があったとは言え、今までで最も良い動きが出来たという実感はある。その事実はしっかりと覚えておくべきことだ。
「あー……でも、結構吠えられてたね」
「え?」
「こういう群れるタイプの獣系モンスターをライトだけで倒したのは初めてだと思うんだけ
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