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ソードアート・オンライン -旋律の奏者-
アインクラッド編
龍皇の遺産
クエストに出掛けよう 02
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それ以上だ。 2メートルは確実にある。
 隆起した胸板は岩のように厚いし、逞しい二の腕は僕の頭よりも遥かに太い。 肌は浅黒く、所々に鱗があり、極め付けは鋭い牙と爪と、それから曲線を描く角。
 そこにいたのは、ゲームやアニメでよく見る龍人そのものだった。

 「フォラスくん?」
 「あ、ああ、ごめん。 ちょっと驚いちゃって」

 アマリに声をかけられてようやく気を取り直した僕は、まっすぐにクエストNPCを見据える。

 70層に点在する街や村にいるNPCから得ていた情報と鼠の情報屋さんから買った情報とを合わせても、クエストNPCが龍人なんて言う情報はなかったので驚いたけど、よくよく考えてみればこの層はドラゴンタイプの巣窟だ。 龍人がいてもなんらおかしくはない。

 「えっと、ヴェルンドさん。 僕たちはあなたに用があってきたんだ」
 「ほう、我に用とな。 して、何用だ?」
 「あなたが持つ特殊な鉱石を分けてくれないかな?」

 単刀直入に用件を伝えると、クエストNPC、ヴェルンドさんの頭上にあるエクスクラメーションマークがクエスチョンマークに変わり、点滅を繰り返す。 これがクエスト開始の合図だ。

 「貴様は何故、それを知っておる?」
 「街の人たちから聞いてね。 なんでも、あなたは凄腕の鍛治師で、他には誰も持ってない特殊な鉱石を所有してるとか」
 「ふむ、確かにその通りだ。 我は我しか持ちえない鉱石を所有しておる。 しかし、奴らの口の軽さには困ったものだな。 人間に迎合した愚かな龍人たちを同胞とは思わんが、龍人族の秘を簡単に話してしまうなど実に嘆かわしい」

 ヴェルンドさんはNPCとは思えないくらいに自然な苛立ちの雰囲気を醸し出す。 クエストNPCの中には、こうした高度なAIが組み込まれたNPCがいることは情報として知っていたけど、実際に見るのは初めてだった。
 人間らしい(正確に言えば人間ではないけど)と言うか、普通に話しているとNPCとはとてもじゃないけど思えない。 GMが動かしているのかと疑いたくなる精巧さだ。

 「まあ、人間の貴様に言っても仕方がないか。 貴様、鉱石が欲しいと言ったな?」
 「うん」
 「断る。 あれは我ら龍人族が長、龍皇様が創られた鉱脈より出ずる秘宝。 人間如きに分け与えてやる謂れはない……と言いたいところだが、実はそれについて、ちと困ったことがあってな」
 「困ったこと?」

 うむ、と大きく頷いたヴェルンドさんは少しの間を空けて口を開く。

 「あの鉱石は龍皇様が創られた鉱脈より出ずる物だと言ったであろう? 鉱脈は次元の狭間に隠され、そこへと至る道は龍皇様と我とが持つ腕輪の力により封印されておるのだ。 故に、人間共にはもちろん、龍人族の者にも龍族の者にも鉱脈が荒らさ
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