2部分:第二章
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もない泣き声が聞こえてきた。
「何だ!?」
信和はその泣き声を聞いて目を覚ましてしまった。まずベッドから起きて隣に寝ている妻の芳香に対して声をかけた。二人はパジャマ姿だった。
「今の泣き声は」
「ええ、聞こえたわ」
見れば妻もまた真剣な顔で起き上がっていた。すぐに枕元の灯りを点ける。窓の外は真っ暗で月が見える。見事な黄色い満月である。
「玄関からよね」
「何だろう」
「まさかと思うけれど」
芳香は顔を顰めさせていた。赤がかった茶色の髪で顔は年齢よりも少し若く見える。首が少し長く胸はないが足にはかなり自信がある。それは結婚してからも同じだ。
「来たのかしら」
「あいつが!?」
「これ、女の人の声よ」
芳香はまだその顔を顰めさせていた。
「それもかなり」
「うん、酷い声だね」
信和も耳を少し澄ませてそれを聞いて思った。
「しかもこの声って」
「聞き覚えあるの?」
「あれかな」
彼もまたあの女かも知れないと思った。
「ひょっとしたらだけれど」
「遂に来たのかしらね」
「そうかも。けれど若しそれだったら」
「一応警察に連絡しとく?」
芳香は早速枕元から自分の携帯を手に取っていた。ピンク色の女性らしい色の携帯だ。その隣には同じ型で信和の携帯もある。なお彼の色は青である。
「今のうちに」
「そうだね。しておく?」
彼もまたそれがいいと思いだしていた。
「今のうちに」
「まだ泣いてるし」
泣き声は依然として続いていた。
「どっちにしろ近所迷惑だしね。だから」
「うん、そうしようか」
「わかったわ。それでね」
芳香は自分が警察に電話してそのうえで夫に対して言った。
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