SS:火と火が合わされば
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にいる人とは大体顔見知りですわ」
「病院はどこ?住所と電話番号、あと担当医の名前は――」
「あのっ!!」
と、急に大きな声をあげたのは木棉季だった。
さっきまでの不安そうな顔を押しとどめ、強気の目だ。子供心に俺が疑われていることに怒りを覚えたのかもしれない。先ほどから一転して猜疑心を剥き出しに警官を睨みつけている。
「友達との約束に遅れるのは嫌なんで、さっさと終わらせてくれませんか!!」
ちょっぴり手は震えてるが、さすがはALOトップの剣士。臆さず大人に食らいつく様は勇敢だ。
だが木棉季や……残念なことに世の中にはロリータなコンプレックスを抱える汚れた大人がたくさんいるのだ。俺と君が手を握っているだけでも事案なんて呼ばれる時代なのだ。時代の流れと国家権力には逆らえない。
警官の人は恐らく内心はびっくりしたろうが、反抗的な非行少女が犯罪に巻き込まれるケースもあるためか疑いの目が消えない。何だか話が拗れていくが、病院の倉橋先生とこの警官の間でコンセンサスが取れれば問題なく行ける筈である。
えっと電話番号は俺の携帯の中に……と携帯を取り出すと、その携帯を警官がむんずと掴んだ。
「あの、電話番号………」
「本官に見せなさい。持ち物検査だよ」
「………流石に横暴過ぎない?」
「君にやましいことがなければ見せられる筈だよね?」
質問に質問で返すなよ……と内心でツッコむ。
この警官は俺のことをミュージシャンかぶれの馬鹿犯罪者予備軍みたいに思っているかもしれないが、学生だって警察のことは少しばかり知っている。職務質問は本当はこっちが付き合う必要皆無だし、持ち物検査だってこんな形で行うのは合法じゃない。路上ライブをやる上で警察への対応方法は一通り調べたのだ。
「俺に許可も取らずにですか?持ち物検査を相手の許可なしに行うのは違法だったはずですけど」
「あぁ、いるんだよねーそういう無駄な知恵をつけてる若者。でも駄目だよ……疑わしい相手を調べるんだからこれくらいするに決まってるでしょ?断ると後々で面倒になるよ?」
「……………」
さも当然のようにプレッシャーをかけてきおった。
心なしか顔がこっちを小馬鹿にしてるのが非常に腹立たしい。ぶん殴りたいが、ぶん殴ると公務執行妨害や暴行罪で現行犯である。たぶん、それもわかっていて挑発してるんだろう。
なんて性格のねじくれ曲がった大人なのだろう。
こんなにも卑怯で姑息な手段で、疑うべきでもない相手を疑ってきやがる。しかも最初の方は木棉季に対して「本当に病院に通っているの?」などと疑ってきた。
俺も社会に出たらこんなクソみたいな大人になるんだろうか。
他人を平気で疑って、子供を不安にさせて、自分より若い相手を見下す大人に。
それ
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