7部分:第七章
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第七章
「今日は『L』か」
それだった。昨日もLだった。あの女の子のバッグに書かれていた文字だ。
その前はアイだった。仕事をする時に木がそう見えた。そしてその前はK。ビニールに書かれていた。その四文字が頭の中で繋がった。
「KILL・・・・・・」
俺はふと呟いた。そう、その四つの文字を合わせればそれになる。俺は今気付いた。
そして。俺はその前のことも思い出した。
バーテンと話している時に言われた不思議なヒットマン。それはやはり俺を狙っていたのだ。あの時言われた言葉。それは確かに俺を狙っていたのだ。
「まずいな」
命を狙われたことなんて数えきれない程ある。だが今回は特別だ。オカルトめいた殺し方だ。俺は正直身震いするものを感じていた。
どうすればいいか。若しこのまま順調にいけば俺はあと三日でやばいことになる。あの時『キル=ユー』と言われた。残る文字は三文字だ。俺に残された時間はあまりなかった。
その日は家に閉じ篭った。どうすればいいか結局わかりはしなかった。あと三日のうちに何とかしないといけないというのにどうしていいかわからなかった。俺は焦りはじめていた。
しかし頭は冷静なままだった。自暴自棄になっても仕方ない。三日しかないが三日もある。それをどうにかしなければならないのはわかっていたからだ。
そして次の日。俺は気分転換に夜に外へ出た。それまでは文字は目に入ってはいなかった。
次に来る文字はわかっている。だがそれはまだだった。俺はあのドイツ系のバーテンがいる麻薬を売っているバーに向かった。そしてそこで飲みはじめた。
「何かやつれましたな」
「そうか」
カウンターに座るとそう言われた。それもその筈だ。このままいけば三日の命だ。もっともやつれたってことは今バーテンに言われてはじめて気付いたことだが。
「どうかしたのか、急に」
「ダイエットをしててな」
本当のことを言わないのがこの世界のエチケットだ。俺はジョークで返してやった。
「かなりハードなダイエットのようだな」
「今付き合ってる彼女の好みでね」
ウイスキーを飲みながらそれに応えた。
「何でもマイケル=ジャクソンの整形したての時が好みらしい」
「ああ、スリラーとかの時か」
「そうらしいな。今のマイケルは好きじゃないらしいがな」
「まあ今のマイケルはね」
バーテンも話に乗ってきた。
「顔が崩れてきたからな」
マイケルの数多いスキャンダルの一つと言われている。人の顔のことなんて放っておけばいいがマイケルのそれはやっぱり極端だとは俺も思う。それにしてもこの国のスーパースターってやつはスキャンダルが尽きない。マリリン=モンローもエルビス=プレスリーも。それを考えるとマイケルもスーパースターってことだが。
「どうにかならない
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