五話:人と機械
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うにもなるだろう。最低でも病の進行は止まる。
それこそが騎士達に残された唯一の道。しかし、それではある問題が発生する。
「だが、それは我らが主によって禁じられている」
「そう。優しいはやてちゃんは自分の為に他の誰かに迷惑をかけることはしない」
「だとしても……はやてが死ぬなんて認められない」
「そうだ。主の死を座して待つなど我らにはできない」
主の命を破ることになるのだと考えると自然と表情が暗くなる。
しかし、だからといって失うことを許容するなど到底出来る物ではない。
そんなことができるのは与えられた指示をただこなすために存在する機械だ。
もしくは愛の何たるかを知らない薄情者だ。
「烈火の将シグナムとしてではなく、八神はやての家族として私は主を救いたい…ッ」
「私も救いたい。それに家族の危機に何もしないなんて家族失格よ……」
「はやてを助けたい。そのためならなんだってする!」
「異論などない。我らの主は八神はやて以外に居ぬのだから」
例え、騎士として許されざる所行だとしても構いはしない。
不忠を罰せられるのだとしても構いはしない。
ただ主を、一人の少女を、救えるのなら騎士の誇りすら喜んで捨てよう。
「そうと決まれば一刻も早く蒐集を行わねば」
「だが、主はやてとお父上に気づかれるわけにはいかない。あくまでも無関係に」
「そうね。誓いを破るのもあるけど二人には明るい道を歩いて欲しいものね」
「はやてと切嗣の未来を血で汚させない」
各々が自身の獲物に不殺の誓いを立てる。
彼等は古代ベルカの生きる継承者だ。それ故に非殺傷設定などという便利なものはもっていない。
彼等にとっては殺さないことを前提に戦うという事は己の全力を出せないと同義だ。
だからと言ってその程度の不利で怯むような彼等ではない。
多少のハンデが何だというのだ。
その程度で泣きごとを上げるのなら。障害を越えられぬというのなら。
―――八神はやての騎士を名乗りはしない。
「申し訳ございません、我らが主」
「ただ一度だけ」
「あなたとの誓いを」
「破る」
四人が誓いを破ることへ苦悩しながら目を瞑る。
その心中は恐らく誰であっても計り知れないだろう。
だが、目を開いたときにその目に宿っていたものは強い覚悟だけだった。
『我らが不義理をお許しください』
もはや、止まれぬ。
覚悟を決めた騎士が足を止めるときは目的を果たしたときか、力尽きた時のみ。
だが、しかし。例え力尽きるのだとしても一歩でも前へと進みながら倒れる。
決して諦めはせぬ。何もかもを捨て去ることになったとしても。
『全ては―――主、八神はやての為に!』
その為なら
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