五話:人と機械
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一見すれば娘にうだつの上がらないどこにでもいるような父親。
騎士達にも愛情を持って接してくれる一家の大黒柱。
だというのに……あの目は何なのだ?
家族には決して見せないが闇の書たる自身を見るときにふとみせる虚無。
人間であるというのにプログラムのような、機械のような瞳。
自分達と同じ機械のように“何をしたいか”ではなく、“何をすべきか”で動く者の目。
本当に人間であるか疑いたくなる瞳。
だが、主や騎士達と触れ合う時の目は間違いなく人間のもの。
その不釣り合いさが興味と警戒を抱かせた。
しかし、それでも―――闇の書にできることは目覚めの時までただ待ち続けるのみ。
それこそが闇の書にとって今すべきことなのだから。
冬も近づく秋口の深夜。切嗣ははやてが眠ったのを確認してからリビングに騎士達を呼び出していた。
騎士達にはただはやての病気について話したいとだけ伝えた。
主のことについての話とあって誰もが真剣な顔で切嗣を見つめる。
「集まってくれてありがとう。君達は間違いなくはやての家族だ。だからはやての病状について知る権利がある」
「……はい、お父上」
シグナムがヴォルケンリッターを代表して緊張した面持ちで頷く。
これから切嗣が話すことは騎士達の心を揺るがし蒐集に駆り立てることになるだろう。
もし、騎士達がただのプログラムであればこの策は通じない。
しかし、切嗣は彼等を人間だと認識しているため失敗するとは微塵も思っていない。
「はやての脚を苦しめている麻痺は未だに原因が不明。不治の病というやつかもしれない」
「そんな……はやてちゃん」
「何かできねーのかよ、切嗣?」
「石田先生は優秀な医者だ。その人が言っていることだ。……僕達にはどうしようもない」
静かに淡々と語る切嗣とは反対に騎士達は顔を歪めて悲しみの表情を作る。
その様子に計画の成功を確信する。人間であれば何かをしたいと思う。
機械であれば与えられた命以外には動かない。
「そして足先から始まった麻痺は今や膝を越えて、少しずつ上に上がってきている。しかもこの数ヶ月は特に進行が早い」
シャマルとシグナムがまさかという表情を浮かべるが気づかないふりをしてそのまま話を続ける。恐らく二人は真相にたどり着いたのだろう。そうであってくれなければ困る。
一刻も早く蒐集を開始してもらいたいのだから。
「このままだと麻痺は内臓器官まで上がって来る……つまり―――『死』が迫ってきている」
「嘘だろッ! なんではやてがッ!?」
「ヴィータ、落ち着け」
「落ち着けって、ザフィーラ! だってはやてが―――」
取り乱して机を叩きつけるヴィータをザフィー
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