第二百二十七話 荒木謀反その十四
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「次は伊賀か」
「伊賀を攻めまするか」
「百地家が治める辺りに兵をやるか。そしてな」
信長はさらに言った。
「あの者達、先の一向一揆や比叡山、高野山の僧兵達に似ておるな」
「確かに、言われてみれば」
「あの暗い旗も服も」
「具足まで」
「暗い、闇の色でしたな」
周りの家臣達も気付いた、そして。
林がだ、信長に言って来た。
「上様、そういえば公暁の高田様も」
「あの御仁もじゃな」
「はい、お服が」
「闇じゃったな」
「都におられるあの方も、そして」
林は信長にさらに言った。
「都には公方様をたぶらかしていた妖僧達がいましたが」
「あの者達も闇の衣を着ておったな」
「突如闇の衣の僧兵達が出て来たこともありました」
信行も言って来た。
「あれもおかしなことでした」
「それを言えば父上をたぶらかした無明を法界坊も」
長政も言うのだった。
「あの二人も闇で」
「闇ばかりじゃな、そして全ての謎が闇にあるか」
信長は腕を組んだまま言った。
「ここは一つ仕掛けるか」
「伊賀に兵を向けて」
「そのうえで」
「いや、もう一つある」
信長は家臣達に答えた。
「もっと言えば二つじゃ、これにかけて奴等の正体を完全に暴く」
「二つ、ですか」
「上様の策は」
「その二つでけりをつけるか」
戦は終わって荒木も戻って来た、当然荒木は許し彼の親族にも戻ることを決めて彼の石高や官位もそのままとした。しかしだった。
信長はそれで終わりとは思っていなかった、むしろここからだった。信長は天下泰平を磐石のものとする為まだ姿が見えぬ敵にさらに仕掛けるのだった。
第二百二十七話 完
2015・5・13
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