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真田十勇士
巻ノ十六 千利休その十三
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「我等のことが大殿にもお話してもらえるか」
「必ず話す」
 幸村は十人にこのことを約束した、それも強い声で。
「拙者の大事な家臣達なのだからな」
「大事な、ですか」 
 そう言われてだ、由利はしみじみとした声で述べた。
「我等が」
「そうであるが」
「ついこの間まで山賊であったわしが侍になるとは」
「拙者の家臣じゃからな」
「だから侍ですか」
「そうじゃ、確かに真田家は小さく禄はあまり出せぬが」
 しかしそれでもというのだ。
「御主達は武士となる」
「そうなることが信じられませぬ」
 山賊であったり流れの武芸者、破戒僧であった自分達がというのだ。
「殿に巡り合えただけでなく」
「いや、我等が巡り合ったのは運命であろう」
 幸村は感銘さえ見せている由利にこうも言った。
「今はそう思う」
「運命ですか」
「これまで色々言われてきたがな」 
 利休や旅の途中で出会った者達にだ、ただ幸村達を以てしても旅で出会った者達が何者かははっきっりとわかっていない。
「我等が会い共にいるのはな」
「運命ですか」
「そう思っておる」
 今は、というのだ。
「だから御主達が武士になるのもな」
「運命ですか」
 海野にとっても武士になるなぞ思ってもいなかったことだ、それで言うのだった。
「それもまた」
「そうであろうな」
「ううむ、信じられませぬな」
「拙者も旅で御主達に会うとは思わなかった」
 そして主従になることはというのだ。
「とてもな」
「しかしこうして会い、ですな」
「主従、義兄弟となった」
 幸村は清海にも言った。
「これも運命じゃ。そしてな」
「さらにですか」
「運命はまだ続く、我等十一人これから何があるか」 
 先、そのことをだ。幸村は正面を見据えつつ言った。このことも。
「わからぬが」
「それもまた、ですか」
「運命であろう、しかし運命は変えられると聞く」
「運命は絶対ではありませぬか」
「だからな」
「悪い運命は、ですな」
「よいものに変えようぞ」
 こうも言うのだった。
「我等自身でな」
「そうですな、終わりよければといいます」
 猿飛は幸村の言葉を受けて陽気に言った。
「そして」
「そしてとは」
「我等十一人がいれば」
「その運命もか」
「変えられます」
「一人では出来ずとも」
 霧隠も言うのだった。
「十一人、力を合わせれば」
「運命はか」
「必ずいいものに変えられましょう」
「その通りじゃな、拙者はどの様な状況でも諦めぬ」
 幸村は家臣達の言葉を最後まで聞いて言った。
「そして運命を変えようぞ」
「その殿に」
「我等は何処までもついていく所存です」
 十人の家臣達もこのことを誓うのだった、そうしたことを話しつつ奈良に向か
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