第六幕その六
[8]前話 [2]次話
診察もしてです、そうしてでした。
その後で南極のアザラシさん達のコーナーにも来ました、こちらのアザラシさんは先生に微妙なお顔で言うのでした。
「何か僕達ってね」
「違うのかな」
「北極にいるアザラシさん達と」
こう言うのでした。
「何処かね」
「それで別々の水槽にいるの?」
「北極と南極って同じなんじゃ」
「同じ寒い場所なんじゃ」
「それでどうして一緒じゃないのか」
「それがわからないんだけれど」
「そのことだね、実は違うんだ」
先生は南極のアザラシさん達の問いにすぐに答えました。
「北極と南極ではね」
「あっ、実際にそうなんだ」
「北極と南極じゃ違うんだ」
「同じ寒い場所でも」
「そうなんだね」
「そうだよ、君達のいる南極は大陸の上に氷があるんだ」
先生はアザラシさん達に南極の地理的状況から説明しました。
「厚い氷がね」
「じゃあ北極は?」
「あっちはどうなの?」
「あっちの状況は」
「うん、北極は大陸がないんだ」
北極の状況もお話するのでした。
「海の上に氷が浮かんでるんだ」
「そうした場所なんだ」
「北極は地面がないんだね」
「南極にはあって」
「北極にはないんだね」
「そうだよ」
こうお話するのでした。
「それで温度も違うんだ」
「北極と南極で」
「そうなんだね」
「同じ寒い場所でも」
「そこが違うんだ」
「南極の方が二十度位寒いよ」
気温はこう違うというのです。
「二十度だからかなり違うね」
「ううん、そうなんだ」
「同じと思ってたら違ってたんだ」
「北極と南極で」
「しかも南極の方が寒いんだ」
「僕達のいる場所の方が」
「そうなんだよ」
先生は南極のアザラシさん達に穏やかな声でお話しました。
「土地柄も気候もね」
「だからなんだ」
「僕達も別々になってるんだ」
「北極のアザラシさん達と僕達で」
「それでだったんだね」
「北極と南極は同じ寒帯だけどね」
それでもというのです。
「また違うんだよ」
「同じではなくて違う」
「それぞれの場所で」
「そうしたものでなんだ」
「別々になっているんだね」
南極のアザラシさん達も納得しました、生成の説明を受けて。そして先生はこちらのアザラシさん達の診察もしました。
最後はバイカルアザラシさん達ですがこちらのアザラシさん達は先生が来ると先生のところに集まってきました。
そして先生にです、口々に言いました。
「何か僕達ってね」
「やたら変に思われてない?」
「海水の中にいないってだけで」
「かなりね」
「そうだね、思われているね」
実際にと答える先生でした。
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ