第六幕その五
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「オズの国に入る前もいた時も外の世界に帰った時もまたオズの国に入った時もね」
「確かに嘘はよくないわ」
ドロシーも言います、魔法使いの古い古いお友達のこの娘も。
「けれど魔法使いさんはいい人よ」
「ペテン師でもだね」
「ええ、だって私達のことをいつも助けてくれて相談に乗ってくれるじゃない」
「だからなんだね」
「最初からね」
ドロシーが最初にオズの国に来たその時からというのです。
「私のことを助けてくれたじゃない」
「だからだっていうんだね」
「魔法使いさんはいい人よ」
こう魔法使い本人に言うのでした。
「心根はね」
「そう言ってくれて嬉しいよ」
「本当のことだから、そしてね」
「そして?」
「今回の冒険でも力になってくれているじゃない」
今現在もというのです。
「こんないい人滅多にいないわよ」
「ええ、魔法使いさんはね」
ポリクロームも魔法使いに言います。
「何かあったら皆の力になってくれる素晴らしい人よ」
「だといいんだけれどね」
「だから魔法使いさんもね」
「人間だっていうんだね」
「私達と同じね」
「じゃああれだね」
腹ペコタイガーが言います。
「ここにいる皆は人間になるね」
「人の心を持っているから」
「そうなるよね、僕達も」
腹ペコタイガーはここで、です。臆病ライオンとトトつまり自分にとってかけがえのない友人達を見ました。
そしてです、そのうえで言うのでした。
「心が人間なら」
「僕はずっと自分を犬と思っていたけれど」
「犬でもね」
「人間なんだ」
「人間の心を持っていたらね」
「そうなるんだね」
「そうなるよ、魔法使いさんのお話だとね」
こうトトにも言うのでした。
「君にしてもね」
「成程ね」
「今日はいいことを知ったよ」
腹ペコタイガーの今の言葉はしみじみとしたものになっています。
「本当にね、それじゃあね」
「それじゃあ?」
「ブラッシングをしてもらった後は」
ブラッシングはまだしてもらっています、その中で喉をゴロゴロとさせて目を細めさせてそうして言うのです。
「寝ようかな」
「その時まで我慢出来るの」
「出来るよ」
ポリクロームにも答えました。
「けれど今も寝ていいんだよね」
「そうよ、貴方の好きにして」
「そうなんだね、まあそれでもね」
「寝るのはなのね」
「その時だから」
ブラッシングが終わったその時だというのです。
「そうするから」
「それじゃあ」
「うん、そして起きた時かな」
「そうだね、大体その時にだね」
今度は魔法使いが腹ペコタイガーに答えました。
「雷の精霊達のところに着くよ」
「そうだよね」
「もう少しでね」
「それじゃあその時まで寝かせてもらうね」
「そう
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