第六幕その三
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「だからね」
「そう、若しそんなことをしたら」
「どうなるか」
わかったものではないというのです。
「食べられることもね」
「普通にあるから」
「ううん、僕も実は食べたいと思うわよ」
何しろいつもお腹を空かせているからです、腹ペコタイガーの食欲は幾ら食べても収まることがありません。
ですがそれでもです、腹ペコタイガーはいつもです。
「けれどね」
「君には良心があるからね」
「この良心がいつも僕に言うんだ」
それこそとです、ジョージに答えるのでした。
「そんなことをしてはいけないって」
「だからだね」
「うん、僕はそんなことはしないよ」
皆を食べたりする様なことはというのです。
「絶対にね」
「そうだよね」
「もしそんなことをしたら」
それこそというのです。
「僕は僕でなくなるよ」
「とても悪い虎になってしまうね」
「悪い虎になる位ならね」
それこそというのです。
「腹ペコでいた方がいいよ」
「そうだよね」
「それに食べるものはね」
腹ペコタイガーはこうも言いました。
「いつもあるからね」
「だからだね」
「うん、僕は君達の誰も食べないよ」
絶対にそうしたことはしないというのです。
「間違ってもね」
「そう思うと良心は大事だよね」
「良心がないと」
それこそというのです。
「僕もどうなっているのか」
「良心がない人は」
ポリクロームも言います。
「人なのかしら」
「人じゃないかも知れないね」
魔法使いがポリクロームに答えました。
「そうした人は」
「そうなるのね」
「心が人間でないのなら」
「オズマは人間だね」
魔法使いは最初にオズの国の国家元首である彼女の名前を出しました。
「そうだね」
「勿論よ」
ポリクロームは魔法使いのその質問にすぐに答えました。
「オズマは人よ」
「そうだよね、けれどね」
ここで魔法使いはあえて言いました。
「オズマは妖精だよ」
「身体は、なのね」
「そう、人間じゃないね」
「それを言ったら」
「そうだよ、ポリクロームだって妖精だからね」
「私も人間じゃないわ」
「そうなるんだよ」
「けれど私は」
「そう、君も人間だよ」
オズマと同じく、というのです。
「かかし君も木樵君もジャック君もチクタクもね」
「皆も」
「忘れていけないのはつぎはぎ娘だね」
勿論この人もだというのです。
「もっと言えば臆病ライオンや腹ペコタイガーも人間になるよ」
「あれっ、僕達はね」
「そうだよね」
魔法使いの今の言葉にです、二匹の動物はブラッシングをしてもらいながら目を瞬かせて尋ね返しました。
「獣だけれど」
「人間になるのかな」
「それを言ったら僕もかな」
トトも言っ
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