第五十二話
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【……ふふん。神と悪魔にしか頼まないのか、お前は】
突然、脳内に声が響き渡る。
「誰だ、お前は? 」
この声には聞き覚えがある。王女と契約してから、時々聞こえてくる声だ。
単なる気のせいだと思って無視していたが、こんな状況でも聞こえてくるんだ。
【幻聴じゃない。俺はここにいる。ずっと側にいた。お前の直ぐ側にな……。ふふん、ずいぶんと厳しい状況だなあ。とってもお困りのようだ。何なら力を貸してやってもいいんだぞ】
「こんな状況でどうやって逆転できるっていうんだ? 毒のせいでまともに動けないっていうのに、四肢はばらばらにされ、目も潰されてるんだ。どうしろっていうんだ。回復するっていっても劇的に回復なんてできるはずない。そして回復したところで、勝機はかなり薄いんだよ」
【ははん。大丈夫。俺と交代すればちょちょちょいちょいさ。千切れた足や腕、潰れた目なんか直ぐに復活する。お前はお前の力の半分も使いこなしていないからな。ひゃひゃ。俺と交代しろ。そうすりゃ、あんなキメラ、瞬殺してやんよ】
恐ろしい自信。しかしそれは全く根拠がないとは思えなかった。
交代という概念がよく分からないが、もしかするとチャンスがあるのかもしれない。
【おいおい、悩んでる場合じゃないだろ? 早くしないとお前の大事な王女さまがばらばらにされちまうぜ。あんな化け物にチビちゃんがキメラに犯されまくってからバラバラにされちまって構わないのか? お前の親友も当然ぶち殺されるしな。それどころじゃねえぜ。お前の事を好いている紫音ちゃんもあのキメラにやられてばらされるぜ。……さっさとしねえか】
混乱。
どうしていいかわからない。どうしようもない状況なのに、俺は一歩踏み出せないでいる。こいつの言っていることは正しい。仮に間違っていても現状それ以外に選択肢なんて無いのは分かっている。だけど決断ができないんだ。
こいつの誘いに乗ったら取り返しの付かないことになってしまう。……そんな恐怖があるんだ。
どうしてだか分からない。だけど、俺の心の奥底のものが警告を発するんだ。
【早くしねえと、王女がやられるぜ。さっさとしろ……。奴は最終的に亜須葉をやるつもりだ。お前の大好きな妹をキメラの生け贄にするっていうのか? お前の一番大事な女なんだろう? 】
その言葉になぜだか動揺した。
【他の女は殺されても、まあ仕方ない。だが亜須葉は死なせたくないだろう。お前の一番大事な女なんだからな】
「何を言ってる? なんで亜須葉が俺の女なんだ」
【俺はお前の中にあるものだ。だからお前の全てを知っている。お前は亜須葉を妹としては見ていない。一人の女として見ている。だからこそ、あの時、お前は……】
「うるさいうるさい! 黙れ黙れ。訳の分からない事
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