第五十二話
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を言って混乱させるな」
こいつはなぜ訳の分からない事で俺を混乱させるんだ。亜須葉は今は関係ないのに。
これもコイツの戦略なのか? 俺から冷静さを失わせ、奴の思うようにするための。
突然体にのしかかっていた重みが消えた。
同時に王女の悲鳴が聞こえた。
俺と王女の心は繋がっている。だから彼女の恐怖が手に取るように分かった。
蛭町が王女を次の攻撃対象として選んだのが分かった。
彼女が武器として使っていた特撮ヒーローのフィギュアはさっきのトゲの乱射で盾となって大破している。もはや彼女の盾となって闘う戦士はいないんだ。
王女の心に恐怖と絶望が広がっていくのが分かった。逃げようのない絶望感。それが暗黒のように彼女の心を浸食していってる。それでも彼女は漆多を何とか逃がせないか考えているようだ。
【さあ、早くしないとチビちゃんのレイプショーが始まるぞ】
「くそ、どうすれば」
俺はそれでも踏ん切れない。コイツの言うことを聞いたら俺が俺でなくなる危険を感じていたんだ。
【さあさあ】
直ぐ側にまでコイツの気配が近づいている。
「シュウ、助けて!! 」
突然、王女の悲鳴が聞こえた。絶望の中、必死に俺に救いを求める声。
死にたくないよ、こんなところで殺されるなんて嫌。シュウ、助けて。お願い!!
王女の叫びが俺に覚悟を決めさせた。
俺がどうなっても構わない。
こんな異世界に、誰も知らない世界に来た王女。たった一人で絶望と闘う少女を死なすわけにはいかない。
「わかった。すべてお前に任せる。頼むから、王女を助けてくれ」
【ふひゃ。了解だぜ、派手に暴れてやる】
コイツの手が俺の方に触れた気がした。
ふっと体が宙に浮くような感覚がし、俺の意識は後に下がった気がした。
まるで車の運転席を譲って、後部座席に移動した感覚だ。
全ては見えるし感じられるけど、夢うつつな感じ……。
【始動する】
俺では無い俺。
起き上がる。
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