第五十一話
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振り向いた俺の鼻先ほどの距離まで変形を遂げた蛭町の蛇顔があったんだ。
???俺は奴が嗤ったように見えた。
次の刹那、蛇は口を大きく開けたと思うと、生えた巨大な牙を剥きだした。カッと何かを吐くような音がすると同時に、その牙からスプレーのように液体を飛ばすのが分かった。
咄嗟に漆多を突き飛ばすのが精一杯だった。
同時に俺は蛭町の吐き出した毒液をもろに顔面に浴びてしまっていた。眼を閉じたつもりだったが間に合わなかったのか。ものすごい痛みが両目に走る。焼けるような痛みだ。
俺は必死になって両目を擦って毒を落とそうとするが、当たり前だけど、そんなの全く効果がなかった。眼球が抉りとられるような感覚。そして何よりも敵前で視力を完全に奪われた事で動揺してしまい、どうしていいかわからない。
そして続けて衝撃を感じた。
首筋から肩口にかけて、何か鋭いものが打ち込まれた。不気味な肌触りと、気色の悪い呼吸音。
それで俺は蛭町の毒牙に噛まれたのだと分かった
……同時に最初は冷たく、でも直ぐに燃えるように熱くなる。
まずい、これは毒液だ。振り切るんだ!! そんなことわかりきっているのに、体が動かなかった。首付近にしびれるような感覚だったそれは、急速に全身へと広がり、俺の体の機能を麻痺させていった。
体を動かそうとしても思うように動かせない。
おまけに毒液をかけられたことで目は潰れて何も見えない。どこになにがあるかなんて分かるはずもない。
全身が振り回されるような感覚がしたと思うと、次の瞬間には宙を舞っていた。
漆多の悲鳴が響いている。
くるんくるん。
体が宙を舞い、意志に反してくるくると回っているのを感じた。そして直ぐに壁に叩きつけられた衝撃が襲ってきた。
「ぐはっ」
体は麻痺して動きが封じられているのに、痛みだけはまともに感じる。いや、むしろ鋭敏になっている感じだ。とてもじゃないが、我慢できる痛みではなかった。まるで皮膚をすべて剥がされた状態のようだ。わずかな空気の揺らぎさえ感じてしまう。強く背中を打ったせいで、一時的に呼吸もできなくなる。
どう考えても肋骨が何本か折れている。
もちろん、毒液を浴びた瞳だっていまだに痛みは続いている。
俺は何処にいるか分からない蛭町を探して立ち上がろうとするが、うまく立ち上がれない。おまけに靴やズボン、服に体がこすれるだけで飛び上がりそうな痛みが襲ってくる。
これは奴の毒のせいなのか? だったらなんてえげつない毒液なんだ。
必死になって立ち上がろうとする俺の両股に抉るような痛みと衝撃が襲ってきた。予想だにできない攻撃だったため俺はまともに倒れこみ、地面に手を突くことすらできずに顔面から床に倒れ込む。鼻が潰れる感覚。顎と歯が石畳に叩きつけられ鈍
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