第五十話
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った。
「早く助けてくれ、うぎょ。う。食い込んでくるよう」
ボロボロと泣きながら訴えてくる。
刺さった場所を見ると、子供の腕くらいの太さのトゲがゆっくりと回転をしている。
体内にだいぶ入り込んでいる。
大丈夫か?
「漆多、少し痛いが我慢しろよ」
漆多がぐちゃぐちゃの顔で頷く。
右手でトゲを掴み、左手で彼の体を押さえると一気に引き抜いた。
かつて聞いたことのないほどの大きな奇声が響いた。
同時に肉の抉れる音と一緒に、トゲが体から引き抜かれた。
「ひいひいひい〜」
白目を剥いて泡を吹きながら彼はこちらを見ている。激痛のためひきつけを起こしたのか?声をかけても反応が弱い。俺が視界に入っているかどうかさえ分からない。
「まずいな、直ぐ病院にいかないと……」
そう言いかけて俺は言葉を止めてしまった。惚けてしまっていたはずの漆多の顔に恐怖が張り付いていたんだ。眼球が飛び出さんばかりに眼を大きく見開き、声にならない声をだし、口をパクパクする。
「シュウ! 後よ」
王女の声に反応し、俺は背後を見た。……そして愕然とした。
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