第四十九話
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れていく。体を回すことで逆ドリルのように男を体内に取り込んでいったのだ。
ついに男は悲鳴を上げることもできないまま丸呑みにされた。
蛭町だったその化け物は倒立状態だった体を地面へと倒し、こちらを見る。
奴の口の中でスニーカーがばたばたと暴れたが、直ぐにその喉の奥底へと飲み込まれていった。
我に返って動こうとすると、すぐさま数十本の脚を駆使して次の獲物へと突進した。
2人の人間を飲み込んだことで、蛭町の体は大きくふくらんでいた。どうやら二人ともナマコみたいにぼってりした体の胴体部にいるようで、下腹と左脇腹部分が人型にさらに膨らんででいた。
そのためか動きも鈍くなり、バランスも悪いせいかふらふらしている。
皮膚はもともとそれほど厚くないのか、その人型に膨らんだ部分にはハッキリと飲み込まれた連中の手や靴、顔が透けて見えていた。まるで風船のようだ。
彼らは叫んでもいるように、何かゴボゴボという音に混じって「たすけて」といった声も聞こえるように思える。
恐ろしいことに体内に取り込まれた連中の服や靴はどろどろと溶けていってるのも見える。消化でもされるのか?
残りの連中はもうパニックだった。
大けがでまともに動けないはずだが、生への執着が痛みを超越したんだろう。残された連中は折れた脚を引きずり、血まみれの腕を動かし、悲鳴も上げずにはうように出口の扉へと向かっていく。
しかし、怪我をした人間が動ける速度などたかがしれている。あっという間に彼らは蛭町に追いつかれ、取り込まれていく。
助けてやろうなんて気は全くないけど、仮にあったところで今の俺では追いつくことも、まして彼らを助けることも出来ない状態だったんだ。
無駄に体力を消耗させられるどころか、奴に回復の時間を与えてしまった。
右拳は握ったままで元に戻らない。左手は指が3本折れたままだ。
意識を集中してその両手の回復を図る。
どうやれば回復させられるのかはよく分かってないが、ただ動くことは賢明でないってことだけは分かった。たとえ人間が奴らに喰われる? 状況だったとしても助けにはいけない。行ったところで助けられない。
目の前で次々と蛭町の仲間だった男達が取り込まれていく。
そのたびに蛭町のナマコみたいな巨大な体が膨らみ、そして伸びていく。人を取り込んで膨らんだせいで体の中が透けて見える。
そこには眼と口をこれ以上ないくらいに開いて必死に暴れているかつての蛭町の仲間がいた。必死に藻掻いて何かを叫んでいるようだが、泡がぶくぶくと発生するだけで、その言わんとする言葉は届かなかった。
やがて、ウネウネとどこからか現れた神経節のような細長いものが彼らの体に絡みつき、一体化していくのが見える。
体液の中でも彼らは呼吸はできるよう
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