第四十九話
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ノーダメージ。むしろ傷を癒し体力を回復させる余裕さえ与えてしまったんだ。
まったく馬鹿だ。せっかくのアドバンテージを感情的になったことであっさりと放棄してしまったんだ。なんて愚かなんだ。
【確かに馬鹿だな、お前は。でも安心しろ。何事も遊び心は大切だぜ。それにあのミミズ野郎は、俺の亜須葉に手を出すつもりらしいからな。まったく、虫けらの分際でそんなことを考えていやがったとはな。……万死に値する大罪だ。あんな糞野郎は簡単には殺 さない。自分の言った言葉がどれほど罪なことかを思い知らさないと、許せない。へへへ、じっくりといたぶり殺してやるから安心しろ】
また頭の奥で何かが喋り出す。これは俺の思考なのか? なんだか頭が痛い。
しかし、その事を深く考える余裕がないんだ。今は眼前の敵を倒さなければならない。
「く、くそっ」
俺は再び攻撃するために奴との距離を詰めようとする。
しかし、気持ちだけが前に行き、脚がついてこない。
蹌踉けて転びそうになる。
あざ笑うように蛭町は壁伝いにに移動し、俺の突進の進路から消える。
「うっぎゃー」
悲鳴が響く。
蛭町の進路上に倒れたままの奴の仲間の一人が転がっていたのだ。
重傷の為、逃げることさえできない彼は、それでもはって逃げようとする。
しかしそれはかなわなかった。
蛭町のナマコ体がのしかかる。
「うげえげげげ」
恐怖に引きつらせた
黒光りする蛭町の胴体は仲間の体に触れるとすさまじい勢いでその仲間の体を取り込み始めたんだ。
どろどろと溶けるように黒い皮膚が人の体を取り込んでいく。
必死に逃げようとするが、怪我のために逃げられない。
「うおうじ。助けて、たすげてえ」
叫ぶ彼の顔をコールタールのようなものが覆い尽くしていく。
ぴくぴくと体を震わせるが、やがて全てが蛭町のナマコ体に取り込まれてしまった。
そして、一人を飲み込んだ分だけ奴の体は少し大きくなった。奴のお腹あたりで皮膚が波打つ。まるで何かに押されるように。ぶよぶよと突起が現れる。その先端は人間の手の形をしていた。
蛇の頭が周辺を見回す。
「ヒッ」とか「ヒャッ」という間抜けな悲鳴が起こる。
それは蛭町の蛇の頭部と眼が合ってしまった連中の出す悲鳴だった。
悲鳴が止むより早く、蛭町が動く。
一番近くにいた、ハンマー男の側で停止したと思うと、いきなり巨大な口を開き飛び上がった。数メートル飛び上がったと思うとそのまま落下し、がぶりと男を脳天から飲み込んだ。顎が外れてるのではないかと思われるほど開いたその口は軽々と男の肩口まで飲み込んだ。そこで一旦停止。逆立ちしたようにピンとのばしたムカデ様の蛭町はおもむろにその尾部を回転する。ゆっくりゆっくりと男の体は飲み込ま
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