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キル=ユー
4部分:第四章
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「ああ」
「こめかみを撃ち抜かれて。現場は大騒ぎだったそうだぜ」
「まあそうだろうな」
 俺はここではあえてとぼけた。
「ファミリーの重鎮が死んだとなっちゃ。当然だろうな」
「それも場所が場所なだけにな」
 このニューヨークでも華やかな場所にあの歌劇場はある。オペラ好きのイタリアン=マフィアの人間にとってみればそこで死ぬのは絵になるものだ。
「大騒ぎだぜ。抗争が原因かってな」
「表の世界にもそれはわかるんだな」
「しかし殺ったのは誰かはわかっちゃいない」
「絶対にわからないだろうな」
 そんなへまはしない。裏の世界はどうあれ表の世界にまで名前が漏れるような無様なことはしないつもりだ。
「誰がやったのかなんてな」
「見事だ。相変わらずの凄腕だな」
「で、その凄腕様にまだ言うことがあるんじゃないのかい?」
「何がだい?」
「とぼけたら今度はあんたのこめかみに穴があくぜ」
「わかってるって。報酬だろ」
「そうさ」
 俺は言ってやった。
「一千万ドルだったな」
「ああ」
「俺の口座に振り込んでくれるんだろ?」
「いつも通りな。それでいいか?」
「ああ、構わないぜ」
 じかにもらうよりそっちの方がいい。いきなりアタッシュケースに大金なんぞ持っていたらそれだけで怪しいことこのうえない。それから俺がやったってことがばれる可能性もある。
「後で銀行に行くからよ」
「今振り込むな」
「早いこと頼むぜ」
 俺は急かした。
「今日はたっぷりと遊ぶつもりだからな」
「何ならこっちに来るかい?」
「その可愛い娘ちゃんだな」
「とびきりのが一人いるんだ」
 ちなみにこいつはポン引きもやっている。まあ斡旋にしろポン引きにしろこっちの世界じゃなくてはならない仕事だ。ハーレムの裏社会では名の知れた奴だ。
「どんな娘だい?」
「チョコレートの肌でな」
「まあそうだろうな」
 ハーレムだからそれは当然だ。
「あんたチョコレートは好きだったよな」
「バニラもピーチもチョコレートも好きだぜ」
 俺は言ってやった。バニラは白人、ピーチは黄色人だ。アジア系の肌は黄色というよりは桃の色に近いと思う。肌触りもだ。結構白人の女は胸こそでかいが肌はザラザラしてて鮫肌の女が多い。けれどアジア系の女は違う。抱いたのは中国系とベトナム系の女だけだが肌が違った。滑らかで柔らかい肌だったのを覚えている。
 残念だがアメリカのアフリカ系の女の肌はどっちかって言うと白人の肌に近い。混血のせいだ。ザラザラしている女が多い。だが白人の女程きつくはないし背も高いし胸もある。その点小柄で胸もないのが多いアジア系の女よりはよかった。まあこれは俺の個人的な好みだ。
「何ならミックスでもな」
「元気だな、今日は」
「金があるんでな」
「しかし
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