第四十六話
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蛇皮のようになっていく。
「うげうげ」
窒息しそうなのか蛭町はうめき声をあげ、よく見ると泡を吹き出している。
「うぬん」
ほとんど前方へありえない角度まで折れ曲がった頸。蛭町の顔は自分の胸に強く押しつけられて呼吸困難に陥ってるようにさえ見える。
顔がみるみるどす黒く変色していく。
「ぶぶぶぶぶ」
何かを喋ろうとしているんだろうけど、口を圧迫されているため空気が漏れるような音しかしない。
唇か舌かを噛んでしまったのか、血が垂れ落ちていく。
ゴキリッ。
どこかから折れるような音が地下室に響き渡り、奴の折れ曲がった頸が大きく盛り上がっていく。
まるで首から新たな頭部が生えてくるように、最初は小さなふくらみだったモノが次第に大きくなっていく。それは最初のうちだけ人間の皮膚のようなものに覆われていたけど、やはり表皮は直ぐに蛇皮のように変化していく。
いつのまにか蛭町の頭部には二つの頭ができあがっている。新たにできあがりつつ瘤のようなそれは次第に本来の頭を取り込みながらさらに大きくなっていくのだ。
「ひぃい」
背後で悲鳴が聞こえる。
……漆多だ。
蛭町達に創造できないくらいの酷い目に逢わされ、さらに命の危険にさらされた上、人外の魔物の出現を見せつけられたら、精神はまともではいられないだろう。
眼をひんむいて口をぱっくりと開いたまましばし呆然と立ちつくしていた。涎が垂れ落ちる。もはや精気が感じられない。
彼の心の中では死があまりにもリアルに感じられているのかもしれない。
「ななんじゃありゃ〜」
「ひいいい! ばけもんだ」
俺の蹴りを受けて転がっていた連中が意識を取り戻したらしい。
いきなりの状況、今自分が何処にいて何をしていたのか吹き飛ばすほどの非現実感。
魂が吹き飛ばされそうな異次元空間に置かれた彼らではあっても、本能的に危険を察知したようだ。
かなりの怪我をしているのにまだ体はきっちりと動くようだ。
蛭町から眼を逸らさずに、かつ慎重に、感づかれないように最大限の努力を払いながら、ゆっくりゆっくりと蛭町から遠ざかろうとしている。
彼らの悲鳴に意識を戻されたのだろうか。
漆多の瞳に光が戻ったと同時に絶叫が地下室に響き渡る。
……彼の悲鳴だ。
がくがくと震えながらそのまま座り込んでしまう。
彼の周りに突然水たまりが発生する。
「たた、たたたたたたったたたたったたすけて。たすけて」
あまりの恐怖で失禁をしてしまう。
そんな人間達の姿などまるで興味がないかのように蛭町の変態は続いている。
骨が折れる……いや砕ける音。体液が絡み合うようなピチャピチャという音。
地の底から聞こえるようなうめき声。
それは生物の誕生の苦しみなのか
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