宇宙編
グラフィー占領編
第3話 遭遇
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三機の中、二機が等間隔で並び暗闇の宇宙に索敵の目を向けていた。
脚部を折りたたみ、頭を埋め両肩を突き出した独特の変形機構。
アクシズ製の可変MS、ガザDとガ・ゾウム。
フーバーのゲルググはガ・ゾウムにしがみついて推力を節約していた。
可変MSの利点は、変形することでスラスターのベクトルを集中させ、大きな推力を発生させるのに加え、味方機を牽引するサブ・フライト・システムとしての運用が可能ということだ。
「どうだフーバー?」
「だめです、ミノフスキー粒子が濃くて、敵の正確な位置は不明です」
宇宙世紀の戦闘は、西暦の頃とは違う。
ミノフスキー粒子によって電子戦は意味をなさなくなったためだ。
「そろそろ会敵する頃だ。全機、戦闘スタンバイ!」
「一機相手にこっちは三機…余裕だね!」
マリー中尉のガザDが一機突出し、先を行く。
「中尉!編隊を乱すな!」
「フン、私の腕なら迷子ちゃんなんざ、一機で墜としてやるさ。」
その瞬間、フーバーのゲルググのモニターにアラームが鳴った。
「??敵機確認!来ます!」
「くっ、散開して敵を囲む!フーバーは左、俺は右だ!」
「了解!」
敵のMSは三機の散開にも動じずに、小隕石を縫うように加速しながら数発の光弾を発射した。
光弾はマリー中尉のガザをかすめ、背後の小隕石を融解させた。
スラスターの光を瞬かせ、機体を左右に揺さぶる。
「高出力のビームライフル、生意気な!」
そう言って、上昇しつつ両肩のミサイルポッドを展開させた。
ミサイルのスコールが、ガスの尾を引いて敵機に迫る。
ミサイルに注意を引きつけ、接近する中尉のシミュレーション通りのいつもの戦法だ。
ガザDから発射されたミサイルをバルカンで撃ち落とし、距離をとる敵機。
「貰った!」
ビームサーベルを抜き、マリー中尉が高機動で距離を詰める。
しかし、ミサイルの爆風を切り抜け姿を現した敵機のV字のアンテナを確認し、フーバーは戦慄した。
「あ、あれは…」
「ガ、ガンダムだと…?」
逆手でサーベルを受け止めた敵機は反動で後ろへ飛ぶ。
「ちぃ、まだまだぁ!」
弾かれた中尉が、機体を加速させ追撃に移ろうとしたその刹那。
敵機の背部から二つの物体が射出された。
「これは??」
危険を察知した中尉が機体を回避に移そうとした瞬間、二閃の光が機体を貫いた。
「まずい!脱出を…」
有線遠隔ビーム砲、インコムによって貫かれた機体は瞬時に融解し爆散した。
モニターに映るマリー中尉の通信波がロストに変わるのをみて、体の血が凍るのを感じた。
機体を叩くガザの残骸の音に一瞬茫然としたが、グラン大尉の声でふと操縦桿を握りなおす。
「インコムだ!フーバー、離れろ!」
あっという間に一機。マリー中尉が戦死した。
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