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ネクストブリーフィング
ネクストブリーフィング
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本政府が合衆国軍に先制攻撃をかける十分な『理由』です」

 彼等とて好きに戦争をしたい訳ではない。
 合衆国軍の演習で理性が働いて自制する可能性があった。
 彼らにその理性を取り除いてもらわないといけない。
 銭形管理官は、彼らしからぬ気障さで--まるで日独戦が描かれた架空戦記の将校のように--それを告げたのである。
 
「私は、カリオストロ方式を提案いたします」



「カリオストロ方式ね。
 宇宙中継で逃げ場のないような場所で、その犯罪を暴露するか。
 貴方のお得意になってますね」

「そうでもありません。
 あくまで、ルパンを追ってたまたま偽札を見つけただけの事」

 ブリーフィング終了後、残った鹿内に銭形が煙草を差し出す。
 火をつけて紫煙をくべらせながら、二人の大嘘つきは笑い、鹿内は銭形に向けて正体をばらす。

「で、自分をダシにしての戦争を考えるなんてどういう了見だい?
 ルパン君」

「ばーれちゃしかたねぇや。
 で、鹿内さんだっけ?
 何時から気づいてた?」

 ルパンは銭形の顔をつけたまま声だけを変える。
 逃げないし逃げる必要も無い。
 お互い初対面だが、利害は一致していたのである。

「最初から。
 SRIは彼をスパイマスターとして24時間監視対象にしているのだよ。
 本人はそんな事まったく気づいていないというか、気にしていないがね。
 今頃は、彼はこっちに向かってくる頃じゃないかな。
 君の偽情報に踊らされてね」

「さすがは天下のトウキョウ・フーチ。
 抜かりの無いことで。
 何で、そこまで知ってて俺を使った?」

 彼との会話を思いながら、NSDとの楽しい思い出を鹿内は思い出す。
 互いに何かしくじったら命を落とす。
 これはそういう会話なのだと体が理解する。
 だからこそ、鹿内は笑った。
 哀れなKGBのスパイをはめて助けた時のように。

「諜報の世界なんて、正義と悪なんて綺麗事で片付く訳も無いからね。
 使えるか、使えないかだけさ。
 で、君とマモーの因縁を知っていたこっちは、それを使えば宣戦布告のいい理由になると気づいた」

「いけすかないなぁ。
 あんたと話していると、スタッキー大統領特別補佐官と話しているみたいだ。
 で、独裁者がためこんだお宝はもらってもいいのだろう?」

 ルパンはおどけた調子で取り分を要求する。
 祖国統一という日本民族の悲願の前ならば、核で焼かれる合衆国軍と同じく独裁者のお宝も等しく鹿内の前では無価値なのを知っての物言いである。

「構わんよ。
 しかし、影の大統領と呼ばれた人と同じ扱いは光栄だね。
 そろそろ行き給え。
 彼がやってくる時間だ」

 そう言うと、階段から
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