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ネクストブリーフィング
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々はそう呼んでおります。
 北日本政府が秘密裏に用意したこの偽札は資源国を中心に流通し、彼らの財務を助ける手段となっているのです」

 幽霊の正体見たり枯れ尾花。
 正体がわかれば怖くは無いと安堵の空気が流れる中、銭型と事前に知らされていた鹿内だけが厳しい顔のままだった。

「偽札が種かと皆様安堵の顔をなさっておられるが、本物のと区別のつかない精巧な偽者を作る技術をかの国が有している。
 そこは紛れの無い事実です。
 我々はカリオストロ公国の技術者の数人が北日本政府に雇われた事を掴んでおります。
 そして、カリオストロ公国よりはるかに国力のある北日本政府はそれに全力を出してきた。
 我々がバブルに浮かれてその後始末に苦しんでいる何分の一かは彼らの偽札によるものです」

 80年後半からのバブルとその崩壊によって日本経済は深刻なダメージを受けていた。
 その理由であるマネーの流入の大きな水源の一つが資源国にばら撒かれたこれら偽札である事を掴んでいたのである。
 後始末に追われて狂奔している大蔵省はそれゆえに北日本政府を敵視していた。
 参加者の顔が引き締まるのを見て銭型管理官は話を続ける。

「北日本政府はただ同然の偽札によって資源を得て、それを加工して東側に売る事で経済を回しています。
 では、それによって得た利益は何処に注がれているか?
 核です」

 参加者に納得の色が浮かぶ。
 話が繋がったからだが、銭型管理官はまだ壇上から降りない。
 更なる爆弾が炸裂したのはこの後の事である。

「先ほど鹿内氏の発言にもありましたが、彼らが大量のプルトニウムの確保に成功したそうですが、それに伴ってミサイルも更新されています。
 彼らの用意したミサイルは東側の核ミサイルではありません。
 西側のタイタンミサイルの改良型なのです」

 会場がざわつく。
 その空気の変化など気にする事なく、彼はプロジェクターを動かし一枚の小男の写真を写した。

「マモー。
 ハワード・ロックウッドと言った方がよろしいでしょうか?
 金融・情報関連を中心に世界の富を集めた謎の大富豪。
 そして、東西両陣営に喧嘩を売りコロンビアで死亡した彼は、自前の核戦力とクローン技術持っていました。
 彼の死亡後、ハワード財団は東西両陣営に分割併合されますが、その莫大な資産と技術を保護したのが北日本政府です」

 核よりもやばい言葉が飛び出て、参加者が皆口を噤む。
 鹿内だけは嘘つきにならずに済んだと安堵するどころか、嘘から出たろくでもない何かに頭を抱えていたのだが。
 人の欲望に不老不死はつきもので、それが独裁者と繋がれば必然的に何が待っているのか言うまでもない。
 
「クローン……か?」

 首相が声を出す。
 
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