ネクストブリーフィング
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鹿内のブリーフィングの後、重苦しい空気が流れるが彼の後にも発表者は控えているのだった。
与党の派閥争いから新党旗揚げによって政権を得た新首相は、それゆえに官僚達を掌握しきれていなかった。
複数の政党の寄せ集めによって政権交代を成し遂げたはいいが、議席数では三位に甘んじている首相は勉強会という形で、各省庁の反主流派をかき集めて己の手足を確保するのに躍起だったのである。
ここはそんな彼の頭脳であり、政策意思決定の奥の院でもある。
衝撃的な発表があろうと、次の人間は控えているのである。
「湾岸戦争後、相次いだ東側国家の崩壊に対して、北日本政府はその政体を維持し続けています。
その理由の一つは彼らの持つ核戦力である事はここにいる皆様にはお分かりだと思います」
鹿内の次の発表者は、トレードマークのトレンチコートを着ていつもと同じように話す。
鹿内が諜報等の裏の顔ならば、彼は警察と言う表の顔だった。
「あの銭型警部か?」
「強引に警視に出世させられて、警視庁新設の管理官として参加らしい」
「警視総監の説得すら首を横に振ったのに……」
「総理大臣自ら口説いたそうだ」
「後ろに居るのは後藤田長官だとか」
そんなざわめきなど気にせずに、銭型は続きを口にする。
彼はルパン逮捕の為に世界中何処でも問答無用で駆け回る事ができた。
それをルパン逮捕だけに使うという贅沢を分断国家の日本がする訳もなく、彼のスタッフには多くのSRI職員--ニンジャコマンド--が配備されていたのである。
彼らの手を持ってしてもルパン三世は今だ捕まっても殺されても居ない。
それが、ルパン三世と彼を追う銭形の凄さを際立たせていた。
「ドロア内戦による東ドロア崩壊。
ソ連のアフガン介入、ベルリンの壁崩壊、そして湾岸戦争。
東側の崩壊の主たる要因はこれらの事例ですが、同時にこれらの介入に北日本政府は兵力を派遣して実戦経験を詰んできています。
で、彼らの経済的見返りは何処にあるのか?」
兵を出すにも金がかかる。
北日本政府のバックであったソ連は経済崩壊の果てに国そのものが無くなった。
彼らの資金源はどこなのか?
「捜査の結果、思わぬスポンサーの名前が浮かび上がってきました。
カリオストロ公国による偽札偽造事件ですが、当時の大口の顧客にソ連がおりました。
彼等はこの偽札をアフガン介入の資金にするつもりだったのですが、あてが外れてその後の崩壊に繋がっております。
にも関わらず、現在においてでもブラックマーケットを中心にある一定量の偽札が出回っております」
プロジェクターに次々と偽札が映し出される。
そのどれもが精巧な出来で本物と見分けがつかない。
「『スーパーJ』。
我
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