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歌集「春雪花」
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 秋雨に

  一人泥みて

    想えども

 君ぞ振り向く

   こともなかりき



 どれだけ愛していても…何も変わらない…。
 強い想いは私を縛り付け、一歩も動けないほどに重く伸し掛かる…。

 秋の時雨は…そんな心に冷たく沁みて…なぜ彼を愛したのかを考えさせるものだ…。

 だが、どれだけ考え…どれだけ想っても、彼は…私へ振り向いてくれるはずもない…。

 真実があるとすれば…ただ、それだけなのだろう…。



 幾千の

  溜め息つきて

    侘びぬれて

 心寂しく

   眺むもみじ葉



 数え切れないほどの溜め息を吐き…一体どれだけ淋しさに涙したことだろうか…。

 彼がこの町を去って七ヶ月が過ぎ…再び、あの日の寒さが帰ってくると言うのに…彼はいない…。

 もみじの葉は、いよいよ燃えるような紅へと染まり、秋の暮れを告げている…。

 私は一人…寂しさの中で秋を眺めるだけ…。

 まるで…孤独の意味を確かめるかのように…。




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