暁 〜小説投稿サイト〜
ある日ある時、ある世界で
INNOCENT's World : Side of her
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えると同時に紗那は蹴りを放つが、疾風は防がずに回避して距離を取った。そのままガンブレードモードに戻したリラで魔力弾を連射しながら紗那を追うが、彼女も回避しながら刀を振るって苦無や手裏剣を飛ばしてくる。どちらも誘導性は持たせずにとにかく撃ちまくるが、命中することなく膠着状態に陥った。

 と、紗那が痺れを切らしたのか刀を二振りの短剣へと変化させて斬りかかってきた。疾風も再びリラをロングソードモードに変形させ、応戦する。紗那の方は短剣になった分小回りが利くのでラッシュに持ち込もうとするが、疾風の方は大剣なので遠心力を利用して斬り付ける。空中を移動しながら戦い続けるが、だんだんとリーチの長い疾風の方が紗那を圧倒し始めた。

「……くっ!」

「逃がすか!」

 形勢不利と見たか離脱しようと背中を向けて飛び去った紗那を追って、疾風も全速力で飛んだ。しかし紗那は煙幕を使って姿をくらまし、疾風は急停止して煙幕の全体を見回して、彼女が出てきた瞬間を狙おうとリラをガンブレードモードに戻して構える。

【……マスター、変です。撃ち損じの魔力弾が消えずに残っています】

「……なに?」

 リラが異常を知らせてきたのはそんな時だった。疾風がそれを確かめようと煙幕から目を離さないようにしつつ左右を見回すと、確かに紗那の撃ち損じた苦無や手裏剣、果てはいつの間にバラ撒いたのか針までもが空中を浮遊していた。だが疑問には思ったものの、理由はわからなかった。

 しかしその答えはすぐにもたらされた。空中に静止していた苦無を、姿を現した紗那が“蹴り飛ばしてきた”のだ。

「いっ!?」

 今までにそんなことをしてきたことはなかったので疾風は驚き、迎撃せずに慌てて苦無を回避した。そちらに銃口を向けて反撃しようとするが、今度は反対方向から手裏剣が飛んできてまた回避せざるを得なくなる。そうしてふと全方位を見て、疾風は唖然とした。いつの間にか自分がばら撒かれた魔力弾の上下左右含めた中心点にいたからだ。直接突進して斬り付けてきた紗那をどうにかやり過ごし、疾風はリラに指示した。

「っ! リラ、ガンナーモード! またやられちゃたまんねぇ、先に撃ち落とすぞ!」

【了解! 魔力砲撃(フォトンバニッシャー)のチャージは……】

「やってる時間が惜しい、連射で撃ち落とす!」

 疾風がリラを、今度は横に連結させる。ガンナーモード。射撃に特化したリラの遠距離攻撃形態である。ガンブレードモードよりも連射性能、威力共に向上している。だがビーム刃を出力することはできないので、至近距離まで接近されても反撃できないというデメリットもある。疾風は紗那そのものよりも、先に周囲の魔力弾をどうにかしようと撃ちまくった……のだが、気付くのが遅すぎた。彼を囲むように配置された魔
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