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ある日ある時、ある世界で
INNOCENT's World : Side of her
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テルスリンク”、愛称をリンクという。ちなみに本体は戦闘に用いる刀の方ではなく、背中に背負っている鞘だ。

 とまぁ、どうにか紗那の機嫌が直ったところで雑談はそこまでにして、当初の予定通り戦闘の練習をしようと紗那はリンクから刀を引き抜いた。リンクと二言三言話した後、目の前に現れたターゲットに向かって刀を振る。リンクに指示した通り、刀から苦無型の魔力弾が射出された……のだがターゲットから大きく逸れて彼方に飛び去り、紗那は少し肩を落とした。

「……見事に大外れ……」

「ま、最初はこんなもんだろ。今までとまったく違うやり方なんだ、すぐにうまくはいかないさ」

「そうだよね……リンク、照準の誤差修正。それから、魔力弾を切っ先じゃなくて刀身の真ん中……ううん、物打ちの辺りで射出するように設定して」

【御意】

 リンクが答えたことを確認して紗那が再び刀から苦無を飛ばすと、今回はターゲットのすぐ上をかすめた。それを見て、今度は紗那が自分の感覚を射出タイミングに合わせていく。……ちなみに物打ちとは刀身の先端に近い部分の事で、日本刀で物を斬る時に使用する部分だ。剣道やなぎなたの試合で有効となるのはこの部分で当てた打撃である。

 自分の練習に集中し始めた紗那に背を向け、疾風も射撃練習をしようとリラを引き抜いた。出現し始めたターゲットを最初は片手で、だんだん両手で狙って撃っていく。……が、両手で狙っていくと単純に撃てる量が倍になるので、徐々にターゲットの数が少なくなり再出現までに時間が開いてしまう。

(ったく、両手撃ちの練習すっと最後はいっつもこうなんだよなぁ……あ、そうだ)

 ターゲットの出現を待つのに飽きた疾風はイタズラを思いつき、魔力弾を紗那が撃ち抜こうとしたターゲットに先に当てた。あっ、と驚いてこちらを振り向いてきた紗那にニヤリと笑い、さらに紗那の前にあるターゲットを撃ち抜いていく。

「ちょっ……むぅっ」

「あ゛」

 と、今度は疾風が撃とうとしたターゲットを先に取られて紗那を見ると、振り返ってニマァ……と笑っていた。

「「……………………」」

 そして、二人は同時に睨みあい……

「とうっ!」

「んなろっ!」

 我先にとターゲットを破壊し始めた。お互いに目の前だけでなく自分や相手の背後のものまで狙い、破壊していく。……それにしても恐ろしいのは、先ほど新方式を試し始めたばかりだというのにターゲットを正確に撃っている紗那だ。普通ならここまで全て命中させることはできないだろうが……負けず嫌い補正なのかなんなのか、一発も外すことなく命中させていく。まぁ、それに対抗して両手で……しかもマシンガンのように銃を連射しながらターゲットを撃ち続ける疾風も相当な負けず嫌いなのかもしれないが。


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