第5話「きゅうめい」
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そう呟いた俺をしっかりと認識し、こちらを向く。
「っ...!(やっぱり普通じゃない!)」
そこでようやく奴さんの顔を見たが、他のゾンビと違って目が血走っていて、明らかに普通とは違った。奴さんはどうやら女性らしく、明確な意識も持っているようで、俺がいる事に驚いているようにも見えた。
「....ぁ....に.....て......。」
「っ...!喋れるのか!?」
振り絞るような小声だったため、聞き取れなかったが、何かを呟いたのは分かった。
「...だ....め....!」
近づいてなんて言ったのか確かめようとすると、彼女は俺を近づけさせないようにと腕を伸ばしてきた。...が、その拍子に俺の方にもたれかかる事になる。
「おい!しっかり!おい!!」
「...生き....て....おね...が...い....。」
俺にもたれかかりながら彼女はそう言った。明確な意識どころか、まだゾンビになってないじゃないか...!?
「くっ...ここでは...!」
辺りを一瞥すると、ゾンビがうようよいる。ワクチンを打ちたいが、ここではできない。
「一時的にだが...!」
彼女を抱えて近くにあった家庭科室の厨房に逃げ込む。中に何人かゾンビがいたがさっさと銃で片付ける。
「(慌てるな、だが、急げ...!)」
手ごろな机に彼女を寝かせ、ワクチンを取り出す。
「これで....よし...。」
傷の近くに薬を打ち、彼女の容態も何とか安定する。
「...探索の途中だが、一旦戻るか。」
このままここに置いたり、連れて行くには危険が多すぎる。
「まさか、まだ生存者がいたとはな...。」
避難区画に戻り、彼女を一つの個室に寝かせ、一息つく。
「確か...佐倉慈先生だったっけ...?」
助けた彼女...佐倉先生は、確か国語教師で優しくて親しみやすいけど宿題が多い事で知られており、生徒ともそれなりに良い関係が築けていた人だ。
「彼女だけが生き残っていたって事はないだろうけど...。」
いくらなんでもパンデミックが起きてから一週間経っているのに女性である佐倉先生だけでは生き残れないだろう。
「探索しに戻るか?...いや、でも...。」
佐倉先生を放置する事はできないし...。そう思いつつ、容態を確認する。
「っ....!やばい...息、してない...?」
あまりに弱っていたのか、呼吸が止まっていた。
「くっ....!」
すかさず襟元を緩め、心臓マッサージをする。
「うぅ...すいません...!」
心臓マ
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