止められぬ戦乱
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うまくいったわね、と一人ほくそ笑む女がいた。
名は黒川メイ。より詳しく言うならそれは偽名で本名は月詠零華という。
普段の彼女は希望崎学園のドジッ子校長だが、任務をほぼほぼ達成した今の彼女は本来の顔である陸上自衛部隊魔人中隊所属月読零華二尉と言った方がいいだろう。
彼女がこの学校に潜入してからもう一年を過ぎた。番長グループと生徒会グループをハルマゲドンで争わせ、戦争が終わった直後に魔人小隊による襲撃で皆殺しにする計画。
作戦が完成したのは大分前のことで、実はもう少し前に実行するはずだった。
出来なかったのは、やはりあの理事長の存在が大きい。
初対面の時こそその見た目故に侮ったが、すぐにその圧倒的な支配力を目の当たりにし、認識を改めた。
恐ろしいことに、学園に何人も存在する魔人たちに、ほとんどなんの問題も起こさせずに生活させているのだ。殺人や強姦などの犯罪が日常的に横行し、かつて戦闘破壊学園などと呼ばれていた希望崎学園が、今は月々の死者数、負傷者数、レイプ被害者数をゼロにするまでになった。
それらの功績が、全部あの理事長によるものだというのだ。しかもその功績を称えられた彼は紛れもない“人間”だ。
そんな理事長を敵に回さないためにも、黒川/月読はじっと機会を伺った。決して悟られないように。一片の油断もせず、発言や仕草の一つ一つにまで気を使い、ついに実行するその日まで作戦を隠し通したのだ。
全て、月読零華だからこそ出来たのだ。
ハルマゲドン開催はもはや決定しきったことだ。あとは魔人小隊に出撃準備をさせ、上司に報告するだけだ。
月読は無線のスイッチを入れる。
「こちら月読。ES、聞こえる?」
部下のESに連絡を取ろうとする。
だが、聞こえてきたのはESの返事ではなく、大音量で鳴り響く女性達の断末魔だった。
『た、隊長! 大変なことが‥‥ギャアアアアア!!!!!』
『く、くるな! くるんじゃない! 来ないで!』
『な、なんだこれは!? 体が動か―――』
『狼狽えるな! 連携を崩すんじゃ―――がッ!?』
無線から聞こえる悲鳴と破壊音に月読は言葉を失う。
何が起こっている!?
「だ、誰か状況を報告しろ! 落ち着け!」
返ってくる声はない。
何度か呼び掛けたあと、月読は最悪の結論に辿り着く。
(まさか、全滅――――――)
呆けていた月読に、後ろから声がかかった。
「どうしたんですか? 校長先生」
慌てて振り替える。
そこには、小学生ぐらいの少年がいた。
「り、理事長‥‥」
そう、この少年こそが小学六年生にして希望崎学園の理事長を努め、覇道を突き進む君主。
ひろし。
「なんで、ここに?」
「そりゃあ、僕の学園で勝手なことをさ
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