止められぬ戦乱
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えたひろしくんだろう」
『あれぐらいこなせなきゃ君主にはなれないよ』
「僕たちからすれば君は十分すぎるほど立派な君主だよ。本題に入るけど、月読零華を送りこんだ人物がわかったよ。魔人小隊の偉そうなのを尋問したら割れた」
『ほう、誰だい?』
「神乃太陽。自衛隊の偉い人」
『そうか。近いうちに暗殺しとこう。りょうくん辺りが適切かな?』
「ひろしくんに任せるよ。そっちはどうだい?」
『月読零華の殺害は成功した。今回は無傷だ』
「それはよかった」
ところで、とみのるは声のトーンを落としてひろしに聞いた。
「ハルマゲドンは止められそうかい?」
『無理だろうな』
ひろしは至極あっさりと答えた。
『確かに月読零華が死んだことを示せばハルマゲドンを開催する理由は無くなる。なにせ言い出しっぺがもういないんだからね』
「‥‥その理路整然とした理屈が通らない理由があるんだね」
『そうだ。番長グループと生徒会グループは互いにいがみ合っている』
そう。月読零華が死んでなお、ハルマゲドンを止められない理由は、当の本人達がやる気満々だからだ。
番長グループと生徒会グループの仲は悪くはなかったはずだが、対立の種は常にあった。
いや。正確に言えば、邪賢王ヒロシマやド正義卓也達の奮闘のおかげで番長グループと生徒会の間にあった確執は一時完璧に無くなった。しかし、時が流れ在籍する生徒が邪賢王やド正義を知らない世代になったとき、番長グループと生徒会は互いに違う思想を持つようになり、やがて争い始めた。勿論常に仲が悪かった訳ではない。利害や考えが一致したことも行事を共に運営したことも両軍一体となって戦ったことも多々ある。しかしそうでなかった時もまた、同じくらいあるのだ。
例えば罪を犯した魔人を裁くとき。例えば希望崎学園に新たな制度を投入するとき。彼らは相容れない意見をぶつけ合い、互いに絶対に譲らない。その姿勢を見て互いに不信感を募らせた。
こいつらが大した権限と地位を持っていないお飾りのような存在だったらどんなに良かったか、などと何回思ったか。
邪賢王やド正義を、彼らが示した協調性の重要さを知っている世代の者がそこにいれば、ハルマゲドンどころかそれ以前の小さな確執の数々は起きなかっただろう。
無論番長グループと生徒会が対立したときはすぐさまひろしが介入し、迅速に解決案を出して有無を言わせず実行した。それで納得しなそうな場合に備えて学校内に裁判所のような機関も作り、完全な第三者視点で揉め事や事件に決着をつけた。そういう風にして武力暴力の伴う対立は極力発生させなかったのだが(発生した場合は容赦なく処罰を与えた。何人か殺したこともある)、それでも互いへの悪印象を完全に消すことは出来なかったのだろう。
魔人は基本思考回路が人間と違う。つまり
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