第3章 リーザス陥落
第64話 奪われたら取り返す
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――……気づいたら深い闇の中に自分はいた。
志津香は、闇の中にいる事に気づき、混乱しつつも懸命に考える。
今、自分自身が立っているのか、座っているのか。……倒れているのか、それさえ判らない。どちらが上で、下なのかも、判らない。そして、身体も全く動かない。
ただ、感じる事はあった。この深い闇の中で不穏な気配を、邪悪な気配を。
その気配はゆっくりと自分の元へとやって来た。
『きゃははっ! 人間は脆い! サテラにかかれば、お前らなんてイチコロだ』
そして、頭の中にはあの声が響いてきた。サテラ……、魔人の声。
自分は、持ちえる全魔力を使って進撃を止めようとした。間違いなく、その全魔力、白色破壊光線はあの魔人に直撃した。その横では、メルフェイスも共に持ちえる最強の魔法を撃ってくれた。なのに、その魔法はサテラが纏っている目に見えない何かにかき消されてしまった。魔人が無敵と言われる所以を、再び目の当たりにしてしまったのだ。
『ふふ、さてと。聖武具を貰ったら……アイツも貰おうか』
『っっ!!』
意味深なサテラの呟きが、まるで直接頭の中に入ってきたかの様だった。
その瞬間、ぐっと力を入れて、動かない身体を必死に動かす。動かそうと必死にもがく。でも……それでも、まるで動かせなかった。まるで 自分の身体じゃないみたいに。
『きゃはは! なんだ? お前、必死になって。さっきよりも随分元気があるみたいだな? ちゃんと吹き飛ばしてあげたのに』
顔を上げたら、目の前に居るであろう距離から声が聞こえてきた。だが、顔も上げられない。そして、声も出ない。今度は まるで、見えない何かに縛られているかの様に感じた。
『ふぅぅん。成る程な。……アイツの事、お前好きなのか』
『っっ!!??』
『なら、益々奪わないとな。サテラの前に立った罰だ。弱っちい人間如きがサテラの前に立った。それだけでも重罪だ』
声がどんどん近づいてくる。そして、最後には耳元で囁く様に。
『だが 安心しろ。アイツの事はサテラが存分に可愛がってやるぞ。魔人の使徒として、永遠に生きられる様にしてやる。……お前の事は忘れてな?』
その言葉を聞いた途端。
ずっと全力だと思っていたのに、自分の身体の何処にそんな力が残っていたのか自分でも判らない程に、力を集約する事が出来た。
『や、止め……止めっ……!!』
動かなかった身体を動かす。
――……奪われたくない。もう、二度と失いたくない。
そう、強く、強く想ったから。
『無駄だ。もう、アイツはサテラのものだ!』
サテラに高らかにそういわれてしまう
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