第3章 リーザス陥落
第64話 奪われたら取り返す
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けるヒトミにもう、大丈夫だと言う事と感謝の気持ちを言葉にして、声をかけ続けた。
そして、更に暫くして。志津香に縋り付くように泣いていたヒトミも涙も止まり落ち着いた。
「そう、私はそんなに寝てたの……」
「うん。でも、セルお姉ちゃんやロゼさんが神魔法をかけてくれたから、傷の方はだいじょうぶ……だと思うんだけど、おねえちゃん……だいじょうぶ?」
ヒトミは心配そうに志津香の顔を覗き込んだ。志津香は、ゆっくりと微笑んだ。
「ええ、大丈夫。ヒトミちゃんのおかげよ。ありがとう」
「う、うんっ……、本当に良かった……」
志津香の手をきゅっと握り、ヒトミも笑った。
……心底安心したので、ヒトミはある事を志津香に言った。
「眠ってる時、お姉ちゃんとても魘されてたから、すごく心配だったんだ。それに、お兄ちゃんの名前、何度も呼んでたよ?」
「……はっっ!!??」
それを聞いて、思わず目を見開く志津香。
そして、頭の片隅……夢と言う淡く儚い映像の中身を僅かだが思い出した様だ。確か、ユーリが攫われそうになって、それを必死に止めようとした筈だった……。そして……確かに好きだと言ってしまった気がしたんだ。
「わわっ、お、お姉ちゃんっ! ごめんなさいっ! 今は、今は駄目だよねっ。今は無しっだよ!」
いつもなら、笑顔であたっくをするヒトミだけど、今は状況が状況だ。あわてて、起き上がろうとした志津香を止めた。志津香も、慌てていたのは数秒であり、ヒトミの言葉もあって、比較的直に落ち着きを取り戻す事が出来ていた。
「っとに、ヒトミちゃんと言い、優希と言い……」
『何で自分達の周りの年少組でもある少女たちはこんなにマせているのだろうか……?』と、志津香は盛大にため息をはいてしまっていた。
年少の少女と言えば、ミルもそうだ。
あのコは、姉が姉だから、と言えば仕方ないが……ヒトミと優希の2人は明らかにユーリが影響だ。それを考えたら、ちょっと足に魔力が篭りそうな気がした。
……それは ユーリにとっての理不尽な怒りである。
「あ、あはははっ、優希ちゃんもそうだもんね。お兄ちゃん大好きなのは同じだからっ」
ヒトミは志津香の言葉を聞いてニコリと笑う。
比較的歳も近しい優希やミルとも仲は勿論良い。中でも、同じ男の人を好いている身とすれば……更に特別だ。ヒトミの場合は親愛、兄妹愛部分が大きく占めている為、優希にはライバルとは思われていない。歳の近しい友達。と言う事だ。
そして、一頻り笑った後、ヒトミはくるっと回り、背を向けた。
「志津香お姉ちゃんが目を覚ましたから、呼んでくるね? セルお姉ちゃんたちを」
志津香にそう言いながら、ヒトミは部屋から出ようと足早
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