第3章 リーザス陥落
第64話 奪われたら取り返す
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傍にいるから。
その声が最後だった。
その声が響いた後……この闇の世界が一気に光へと変わったのだった。
〜レッドの町 リーザス解放軍司令本部・第一医務室〜
それはあの魔人の襲撃が終わった後の事。
敵の襲撃はあったものの、施設そのものを壊されたわけではなく、問題なく資材は使えるし、機能もした。リーザス解放軍の戦闘メンバーが何10名か負傷したが、衛生兵は何人も控えている為問題ない。深夜の襲撃だった事、敵が無駄な破壊工作や被害を出さなかった事が幸いした様だ。この場所のベッドで寝かされているのは、2名。
「んしょ……んしょっ……!」
そして、傍らでは 2人を看病をしている者がいた。
濡れタオルを丁度変えている所で、必死に絞り上げ、水分を落とし、そして 眠っている彼女の額に置いた。
「ん……っ」
その感触、冷気のおかげで、朦朧としていた意識が覚醒して、目を開く事が出来た。光の世界へと帰ってくる事が出来たんだ。
「あっっ!」
それに気づいた瞬間。真剣な表情でタオルを絞っていた表情が一変。
「し、志津香おねえちゃんっ!!」
ぱぁ、っとまるで花開く様な笑顔で、その志津香の帰りを出迎えた。
看病をしていたのはヒトミである。そして、眠っていた内の1人のは 勿論 志津香。……先ほどまで 悪夢に魘されていたのは志津香だった。
「ぁ……れ……? こ、ここ……は……?」
志津香は目に入ってくる光が眩しく、そしてまだ意識が朦朧としているのか 目を細め そして視線を動かして、周囲をゆっくりと見渡した。最初に見えたのは、この部屋の天井。純白の天井に、仕切りであろうカーテンが見えた。そして、笑顔の少女の表情も。
その少女の表情、ヒトミの表情は、笑顔から徐々に強張っていく。そして泣き顔へと変わる。
「うっ……うっ……よ、良かった。良かったよぉ……し、しづかおねえちゃんっ……」
両の目から、ぽろぽろと涙を零していた。
ヒトミは、志津香がこの場所に運ばれてから ずっと、ずっと寝ずに看病を続けていたのだ。目を覚まして、安心して、一気に気が緩んだのだろう。それに、ヒトミにとって志津香は大切な友達。……ずっと、得られないと思っていた友達なのだから。
だから、本当に心配していたんだ。
「ぁ……」
志津香は、泣き続けるヒトミを見て、全て思い出した。
あの夜、魔人に襲撃された夜の事を。魔法をはじかれ、そして 攻撃され、そのまま意識を手放した事を。
「ありがとう……。ヒトミちゃん。もう、大丈夫だから」
まだ、身体を動かすのは難しいが、安心させてあげる事は出来る。だから、志津香は泣き続
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