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恋姫†袁紹♂伝
第28話
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ばただイチャついているだけである。
 桂花、風といった美少女を両手に花のこの状態で、彼女達を慕う親衛隊に助けを求めればどうなるだろうか、考えたくも無い。
 そして結局、しばらく膝上に二人を乗せた状態で馬車に揺られ続けた。



「お兄さん、連合の陣がみえてきましたよ〜」

「まことか!?」

「あ、麗覇様また!!」

 桂花の慌てる声を無視して窓から顔を出す。風の言う通り連合の陣が見えた。

「ようやく……」

 陣中にある『術』と書かれた軍旗を見て呟く、実はテンションが天元突破した理由はあの軍にある。
 術の一文字、彼の妹袁術の軍旗である。思えばこれまで紆余曲折あった。

 当主就任の為に妹と顔を合わせることも叶わず。反袁紹派のしがらみで会いに行くことも出来ない。
 まだ見ぬ妹との唯一の繋がりは、月に一度の文のみ。
 そしてとうとう反袁紹派を淘汰しようというこの時に、今回の騒動である……。

 袁紹にとって連合での一番の収穫は、袁術との初顔合わせであった。







「華琳様、袁紹殿とその軍が到着致しました」

「あら、随分早いわね……」

 水関から少し離れた場所に位置する連合の陣。そこにいち早く到着していた華琳は、軍師である郭嘉と共に周辺の地形を見直している最中だった。そこへ秋蘭から袁紹の到着を知らされ、華琳は素直に驚いた。

『兵は神速を尊ぶ』

 これを自軍に掲げその言葉通りに曹操軍は、他では類を見ない速さでの用兵術を得意としていた。
 行軍とは本来鈍足なものである。それも大軍なら尚更だ。しかし袁紹軍はその常識を物ともせず、華琳達の予想を上回る早さで現地に到着して見せた。

「軍の速さは精強さに繋がる……そうだったわよね? 稟」

「はい、かの軍は良く鍛練されているかと」

「我が軍とどちらが上かしら?」

「軍の規模からして、鍛練の濃度が違いますので……」

 郭嘉の言葉に華琳は満足そうに微笑む。量では負けるが、質では自軍が上回る。
 何かと事を慎重に運ぶ郭嘉故に、断言せず濁したような答えだったが、彼女のそれが性格から来るものと理解している華琳にはわかった。

「作業を一時中断よ。秋蘭、皆を集めてきて頂戴」

「ハッ! ご挨拶に向かうのですね?」


 やれやれといった空気で立ち上がる華琳。主のそんな様子を見て、郭嘉と秋蘭はお互いに顔を合わせて微笑んだ。
 長らく彼女に付き添い、心を通わせてきたからこそ二人にはわかる。主が浮かれていることを。

 華琳にとって袁紹は対等に話せる数少ない相手である。多忙の中でも文でのやりとりは欠かさないし、それが遅れて苛立っている光景も見たことがある。
 
「以前のように放っておいて拗
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