暁 〜小説投稿サイト〜
恋姫†袁紹♂伝
第28話
[3/5]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話

 宝ャ、風、桂花の順に捲くし立てられ、開き直り気味であった袁紹はたじろいだ。

 元々、三台の馬車は奇襲を受けたとき、相手を撹乱(かくらん)するために桂花が用意したものだ。
 可能性は極めて低いが万が一賊等に襲われた場合、主である袁紹の居場所を隠すのが狙いだ。しかしそれも、袁紹が馬車を飛び出したことで効力を失ってしまった。

 黄巾以来の大行軍にテンションが天元突破した彼は、秘密裏に持ち込んでいた折りたたみ式御輿と、その担ぎ手達と共に先頭に移動。『一生に一度はやってみたい事集 著・袁本初』に記された一つ『全速前進DA!』を行っていた。
 それもご丁寧に、天和達から借り受けた拡声器を使用して。
            
「お兄さんには、お仕置きが必要ですね〜」

「ちょっと風、なにもそこまでは……」

「甘いですよ桂花さん、少しくらい痛い目を見ないとお兄さんはまたやらかします」

 風の言葉にギクリと肩を震わせた袁紹を見て、擁護気味だった桂花の目が細められる。

「……それもそうね」

「そうですよ〜ではお兄さん、目的地に着くまでお膝を拝借」

「む?」

「ええっ!?」

 驚く桂花を他所に、風は素知らぬ顔で袁紹の膝の上に収まる。これではいつも通りである。どこが罰なのだろうかと袁紹が疑問に思っていると――

「ちょっと風! それのどこが――」

「罰はここからですよ。さぁ、桂花さんもどうぞ」

「……ちょ、ちょっとま――」

 右ひざに移動し左を差し出す風。彼女のその行動に嫌な予感がし、袁紹は制止を呼びかけようとしたが時既に遅し。

「し、失礼します!」

「ぐぉっ!?」

 風の意思を理解した桂花は、そのまま袁紹の左ひざに腰を落とす。

 ――重い! その言葉をなんとか飲み込む。名族として、一人の紳士として、そしてなにより。そのような言葉を婦女子に投げ掛ける訳にはいかない!

 とはいえこのままもまずい。いくら小柄とは言え片膝に一人ずつなど、馬車の揺れも重なり袁紹の膝は悲鳴を上げていた。
 とりあえず二人を何とか説得――しようとしが駄目だ。桂花は林檎のように赤くなり此方に反応を示さず、風に至っては意味深な笑みと共にこの事態を楽しんでいるようだ。

 ――自力の脱出は不可能。何故か此処に至って冷静な袁紹は、協力者を求めようと視線を動かした。
 
 ちなみに武官達は皆、自分の部隊を率いて行軍している。馬車内にいるのは袁紹達三人のみで、音々音は本人たっての希望により恋と共に騎乗していた。
 これらの事を踏まえ、袁紹は馬車の窓に目を向け――瞬時に逸らす。何故なら、馬車を警護する親衛隊の面々が血涙を流して見ていたから。

 袁紹にとっては仕置きでも、他者からみれ
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ